近代日本の身装文化(身装画像)
説明 高利貸しの家に押し入った強盗が、寝衣(ネマキ)一枚に細帯姿の娘を拳銃で脅して案内させ、金庫室の貸金帳簿に硫酸らしいものを掛けて、文字通り帳消しにしようとしている。強盗はその装束から見て本職だろうが、いかにも絵に描いたように決まっている。さらに作者の描写では「上に被(ハオ)っていた護謨引きの、滴の垂れる真っ黒な合羽を脱ぎ捨てると、黒桟の布子の改機裏の附いたのを素肌に、黒の越後麻の扱(シゴキ)を巻きつけて、黒金巾で全然(スッカリ)顔を包んで(……)」と、いったいだれが観察したのか、着ている袷のきものの裏地の素材まで細かに言及されている。黒桟留の微塵縞の木綿の表に、甲斐絹の裏を付けた袷を素肌に着る、というのは、相当なしゃれ者ということになる。この衣裳付けによって、強盗の素性を読者にある程度におわせる、というのが作者のねらいにはちがいない。しかし、丹念な衣裳付けへのむかしながらの執心のために、事件としての切迫感が薄れて、芝居の場面を見るような、ゆとりのある絵画的情景に感じられる。(大丸 弘)
ID No. D11-020
出典資料 大阪毎日新聞
発行年月日 1899(明治32)年10月23日号 6面
画家・撮影者 阪田耕雪(坂田耕雪)(1871-1935)
小説のタイトル 黒装束(1)(2)
作者 小栗風葉(1875-1926)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D5ne:[寝巻;ナイトウエア]
Vka:[掛襟]
D4ya:[やくざ;博徒;ギャング]
Wzu:[頭巾;覆面]
時代区分・年代 19世紀終わり;1899(明治32)年
国名 日本
キーワード 黒襟;黒装束
男女別 男性;女性
体の部分 全身;坐臥