近代日本の身装文化(身装画像)
説明 国会議員でもある地方の資産家の家庭の情景。二十歳になる姉と八歳のその弟。姉娘は弟たちの遊び相手をしながらつれづれに読書をしているらしい。彼女の着ているのは被布。石川啄木に、「大形の被布の模様の赤き花今も目に見ゆ六歳(ムツ)の日の恋」 という歌がある。1886(明治19)年生まれの啄木が数え六つといえば1891(明治24)年、その時代、被布を着た少女に恋心を抱いていたのは啄木ばかりではなかったようだ。若手作家で雑誌の流行欄も担当していた金子春夢は、1893(明治26)年の初冬に、「被布は近来、男女に係わらず専ら流行するに至れり」と書いている(「被布の製法」【家庭雑誌】(民友社) 1893年11月25日)。春夢は被布を着た少女の可愛らしさに眼がなかったらしい。この年の正月にも「予はかねて新年には美麗なる被布が可憐なる少女の身に着けらるるならむと期したりしが、果然被布は新年の大流行となりたり(……)、予が飯倉片町を通行したる時、乳母に連れられし美麗なる被布着たる三人の少女を見たり(……)」と、ひとりひとりの衣裳をくわしく述べ、「蓋し新年第一の美観なりし」と結んでいる(「新年市中雑感記」【家庭雑誌】(民友社) 1893年1月1日)。さらに二年後にも、「被布の流行は益々盛んなり、五、六歳より十歳内外の小女が、友禅縮緬を着たる姿の可憐なるは言語に絶す」(「都の春」(明治28年新春の所見)『衣服と流行』1895年)と、手放しのありさま。この絵を見れば、ふだんの衣料でありながら、凝った柄物の使われていることがわかる。むこう向きの弟の兵児帯の結び目は少し大きすぎるようだ。(大丸 弘)
ID No. A07-002
出典資料 大阪毎日新聞
発行年月日 1907(明治40)年1月7日号 6面
画家・撮影者 阪田耕雪(坂田耕雪)(1871-1935)
小説のタイトル 懸賞小説第一等当選 嫁ヶ淵(7)
作者 小笠原白也(1873-1946)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D7re:[令嬢モデル]
D004:[適齢期の娘;新造;(1) 嫁入り前の娘,新妻,さらに一般の他家の妻女をいう。]
Vhi:[被布]
D012:[男の子(小学生くらい)]
Vob:[帯]
時代区分・年代 20世紀初め;1907(明治40)年
国名 日本
キーワード 金持ち;お嬢様;読書;本;兵児帯
男女別 女性;男児
体の部分 全身;坐臥