近代日本の身装文化(身装画像)
説明 品川御殿山なる大蔵省高官の別邸には、母親に死別した十六歳の一人娘、六十歳になる祖母、その異腹の妹で四十二歳の独り身の女性とが、大勢の奉公人にかしずかれて住んでいる。挿絵では祖母とその妹が、孫娘のお付き女中によい候補者があるという報せの手紙を、朝餉を前にして読み合っている。この時代はまだひとつのお膳をみんなが囲んで食事する習慣は一般的でなく、大衆のおおくは箱膳を使っていた。食器とセットになった、たぶん春慶塗りの蝶脚膳を日常の食事に使っているのは、かなりの身分の御屋敷だからのこと。姉は慈姑のような茶筅髷、小紋のきものに老人らしい被布を着ている。左肩に見える三角形の黒い部分は小襟といって、別ぎれを用いた返し襟。これと、胸の両側の飾り紐が被布独特のアクセントになっている。被布は外出にも、家着としても用いられた。被布を着るような老人は座敷に座っている時間が長いわけだから、そういうとき三本目の脇の紐は結ばずに放ち着のようにして着る。その状態がこの挿絵でよくわかる。(大丸 弘)
ID No. N98-003
出典資料 万朝報
発行年月日 1898(明治31)年1月20日号 1面
小説のタイトル 女の義理(4)
作者 松居松葉(松居松翁)(1870-1933)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード H6:[和座敷一般]
D006:[初老の女性(40~50歳代)]
D007:[女の老人]
D2ni:[日本髪一般]
Vhao:[羽織]
Wme:[眼鏡]
Vhi:[被布]
D3ha:[放ち着]
時代区分・年代 19世紀終わり;1898(明治31)年
国名 日本
特定地域 東京;品川;御殿山
キーワード 襖(ふすま);箱前;蝶脚膳;座布団;火鉢;黒紋付き羽織;羽織紐;引っ詰め髪;ひっつめ髪;茶筅髪(ちゃせんがみ);小襟;返し襟;飾り紐;手紙
男女別 女性
体の部分 全身;坐臥