近代日本の身装文化(身装画像)
説明 三人姉妹とか何人かの女友だちというのは読者の興味を引っ張ってゆく話の展開がしやすいのか、大衆小説では繰り返される設定。その場合その娘たちの境遇、性格の違いを際立たせるのも同じく常套的。この作品はシェイクスピアの『リア王』を下に敷いているので三人の娘の性格は基本的には原作にしたがっているが、そのうえで三人の美女の容姿や挙措の違いを強調することに作者の苦心があるはず。とはいえ娘三人の顔は例の浮世絵風の狐顔で百年前の花魁となんの違いもない。娘からの阿諛(アユ)のことばを待っている愚かな父親の顔のわざとらしい皺の表現といい、この時期の挿絵画工のレベル、というほかないか。真ん中の家つき娘だけは束髪で、霰(アラレ)風な細かい小紋柄を品よく着て白襟を見せ、やや権高い感じになっている。右側の次女は他家へ嫁入っているのに高髷を結っている。これはめずらしいことだが若い人妻には夫や姑の好みでないことではなかった。彼女も姉よりは華やかな小紋柄のきもの。左側の末娘はまだ肩揚げのある総模様のきもの、髷も姉よりは高く、娘らしいビラビラの簪(カンザシ)を挿している。(大丸 弘)
ID No. N90-002
出典資料 やまと新聞
発行年月日 1890(明治23)年8月2日号 2面
画家・撮影者 水野年方(1866-1908)
小説のタイトル 三人令嬢(4)
作者 条野採菊(採菊散人)(1832-1902)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード G043:[縁先;縁端]
H6:[和座敷一般]
D2sim:[島田;高島田]
D2hi:[束髪(庇髪など、後期平型の)]
D1ka:[髪飾り(櫛,簪,リボン)]
D3ob:[帯の締め方;帯の位置]
Vhao:[羽織]
Vkat:[肩揚げ]
D017:[男の老人]
時代区分・年代 19世紀後半;1890(明治23)年
国名 日本
キーワード 金持ち;縁側;書院;火鉢;小紋のきもの;高島田;お太鼓結び;総柄のきもの;黒紋付き羽織;座布団
男女別 男性;女性
体の部分 全身;坐臥