近代日本の身装文化(身装画像)
説明 下宿を焼け出された主人公が新しく見つけた下宿。たぶん、もといた下宿と大差のない造りだろう。入った土間の左右に下駄箱があり、すぐ前が広い階段で、その前の板敷きには上草履が並んでいる。一階にも部屋があるが、玄関を覗ける辺りは経営者の部屋で、その辺は安宿とちがいない。しかし、旅館とちがってそこがいわゆる帳場になっているわけではないから、下宿の主人と顔を合わせるようなことは滅多にない。むしろ大正期に増えはじめたアパートの、最初の構造に近かった。たいていは一間で、まかない付きだが、部屋に便所や洗面設備はなく、風呂のない家も多かった。洗濯はもちろん自分でするのだが、和服の時代は男女とも襦袢を洗うことも滅多になく、次第に洋装に切り替わっても、現代ほど肌着の汚れに神経質ではなかった。この主人公は教師の職にいながら、柳行李ひとつを浮世の一物、としている。独り者の多くはそんなものだったろう。(大丸 弘)
ID No. A04-072
出典資料 東京日日新聞
発行年月日 1904(明治37)年10月8日号 4面
小説のタイトル 夜叉男(32)
作者 村上浪六(1865-1944)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード G0:[一般的建築物]
G02:[開口部も含めた外壁面]
時代区分・年代 20世紀初め;1904(明治37)年
国名 日本
キーワード 下宿の玄関;下駄箱;上ぞうり;階段;犬