近代日本の身装文化(身装画像)
説明 二十歳前の華族家の姫君が、連れていた弟と行きはぐれてしまい、夜の墨田堤で途方に暮れている。「すらりとした身丈(セタケ)の、後姿は二十歳にも見られるのであるが、薄光にその横顔の、どうしてもまだ十七か八とより思われぬ。被布襟に後れ毛の乱れて、気品ある顔容(カオダチ)」。娘の着ているのは被布で、この時代の外出の盛装。胸元の二カ所、または四カ所に飾り紐のあるのは被布の特色だが、四つの桜の花形の組紐飾から大きな房が下がり、やや大仰ではあるけれど、子どもや若い娘ならば華やかな印象のもの。腰のあたりまでの裾模様とはいかにも御殿好み。肩の辺りの三角形が文中にある被布襟で、小襟ともいうこれも被布の特色。彼女は悲しくて襦袢の袖で涙を拭いている。女性の外出時にはやがて必需品となるハンカチーフは、この時代にもかなり普及していたはずだが、目頭を押さえたり、口もとを隠す用には依然として襦袢の袖口が用いられている。このお姫様はまだ肩揚げがあるようだ。彼女の髪型はそれまでの束髪とかなりちがってきていて、全体として膨らみがずいぶん大きくなっている。流行りはじめの花月巻。この年は下田歌子式とか、花月巻とか、二百三高地とか、束髪に大きな変化の生じた時期だったが、具体的なスタイルについてははっきりしない点があり、たとえば同じ花月巻といってもヴァラエティがあったようだ。ただ、全体として、従来の縦型束髪に代わって、左右前後に張り出してきたことは共通している。(大丸 弘)
ID No. A04-003
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1904(明治37)年1月6日号 7面
画家・撮影者 河合英忠(1875-1921)
小説のタイトル 新作 相思怨(そうしえん)(4)
作者 草村北星(1879-1950)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D004:[適齢期の娘;新造;(1) 嫁入り前の娘,新妻,さらに一般の他家の妻女をいう。]
D7re:[令嬢モデル]
D2so:[束髪(前期縦型の)]
D1ka:[髪飾り(櫛,簪,リボン)]
Vhi:[被布]
Vkat:[肩揚げ]
D801:[強い悩み・悲しみ・口惜しさ・羞恥の表現]
時代区分・年代 20世紀初め;1904(明治37)年
国名 日本
キーワード 華族の姫君;花月巻;リボン;組紐飾り;房飾り;小襟;裾模様
男女別 女性
体の部分 全身