文献番号 | 01_LI001763 |
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著者名 | 川添裕子/カワゾエ ヒロコ |
書名・論文名 | 流動的で相互作用的な身体と自己 : 日本の美容整形の事例から |
掲載誌名 | 国立歴史民俗博物館研究報告 169 |
出版者 | |
発行年月日 | 2011 (11) |
ページ | |
掲載ページ | pp.29-54 |
シリーズ名 | |
OWC | AB;E |
地域・民族名 | 日本;ヨーロッパ |
特定地域名 | |
時代区分 | |
時代通称名 | 近代~ |
キーワード | 身体と自己 ; 近代的規範 ; アイデンティティ再交渉 ; 身体のマイナーチェンジ |
抄録 | 近代以降の身体観の変化と併行して,美容整形は拡大し続けてきた。美容整形に関する人文社会科学研究では,身体の管理・監視に焦点を当てた分析と,整形経験者の能動性に焦点を当てた分析が対立的な議論を構成してきた。しかしいずれも近代社会とその対極の個人という図式に依拠している点では共通している。近代的身体観と近代的個人の概念に基づいた分析においては,美容整形経験者の身体と自己は,社会に従属するか,あるいは他者と無縁に刷新されるものと描かれる。本稿は,術前から術後に亘る聞き取り調査をもとに,従来の研究では背景に退いていた状況性と関係性および手術後の馴じむ過程に着目して,日本の患者の身体と自己のありようについて検討するものである。手術前,患者たちの身体と自己の感覚は画像情報的で,普通でないというようなスティグマ化された身体形態に固定化している。この日常生活全体に暗い影を落とすほどリアリティを持つ身体は,手術後は意外に早く忘れさられていく。固定化していた身体と自己の感覚は,手術を契機に流動的に変化しうる。しかし単に手術が技術的に成功すればいいだけではない。日本では,美容整形の周縁性・境界性がとりわけ顕著である。相対的に普通が強調される中で,ほとんどの患者はタブー視される美容整形を秘密にする。患者たちは痛みや違和感の残る身体に馴染むと同時に,その身体で他の身体の前に出てともにいることに馴染んでゆく過程で,手術前とは微妙に異なる身体と自己の感覚や他者の反応や新たな関わり方を少しずつ自分の身体に染み込ませてゆく。この一連の経験の中でそれまでの価値観や他者との関係を捉え直す患者もいるし,しばらくしてまた画像情報的な身体形態の追求に向う患者もいる。本稿の分析結果からは,身体と自己の感覚と認識は,そのつどの状況性と関係性の中で立ち現れる流動的で相互作用的なものであることが示唆される。 |
身装概念 | DP202.5:[美容整形;形成外科;整形外科;隆鼻術] DX04:[身体加工;身体装飾] DP156:[印象;外見;視覚評価;イメージテスト;形象イメージ;着装効果] DP201:[身体観;身体像;ボディコンシャス] |
服装専門分類 | DP2:[身体・生理・環境・性;総記] DX1:[美についての理論・心理;ヘア,化粧] |
資料タイプ | |
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国会図書館請求番号 | |
日本十進分類 | |
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リンク | 国立情報学研究所 CiNii |