日本昔話資料:稲田浩二コレクション
データ番号 Q05440-A01
題名 髪剃り狐. 袋狐 - ならこの狐 -
題名(ヨミ) カミソリキツネ.フクロキツネ - ナラコノキツネ -
時間 14分17秒
収録年月日 1971-11-02
収録地 石川県鳳至郡柳田村
収録者 稲田浩二
OWC AB27
日本昔話タイプ 複合【IT997;髪剃り狐 】. 【IT1007A;法印と狐-葬列型】. 【IT784;袋狐】
話形分類 TA. 髪剃狐, 叺狐;ME. 狐退治の失敗, 叺狐
概要 「むかしね、ならこのきつねちゅうんが・・・・・なんばみそあいてふたがかるかった。」
ならこ(地名)の狐という人を騙さずにはおかない狐がいる。引砂(すけいしな)の三右衛門という利口な男が、身代持ちの男子(だんし)、金持ちの船頭を誘って、騙されない競争をして、負けた者が勝った者に身代をゆずることにする。始めに、身代持ちの男子がならこへ行くと、美しい女房が歩いているので、ついて寺へ行く。多勢の客が、頭を剃ってもらっているので、男子はいっしょになって剃ってもらう。男子の帰りが遅いので、三右衛門どんと船頭が様子を見にいくと、男子は木の股にあごをかけて、狐に頭を剃られている。男子は狐に騙された。次に船頭が行くと、殿様の行列に出くわしたので、木に登って見物する。行列のあとに大きな桶が残っており、その中から、100日も食べていないような死体が出てくる。死体が、あの木へ上がったらどれほどすずしいだろうと言う。船頭は恐ろしくなり、木の頂上までのぼる。死体は「あの木へ上がったらどんだけすずしいやらな、」と言って、スットン、スットンと木の頂上までのぼってきて、冷たい手で船頭の足をつかむ。船頭はおどろいて、気を失って、木の下へ落ちる。船頭が気を失っている間に、狐は船頭の頭を剃る。三右衛門と男子が様子を見に行くと、船頭は木の根をまくらにして寝ている。船頭も狐に騙された。最後に三右衛門どのが行くと、美しい女房に出会う。三右衛門は、女房に尻尾が出ていると言い、化け方を教えてやるから、11日に山の干場へ来いと言う。三右衛門が、大きな藤袋と大きなかけやと、小さいばえ(?)を持って、11日に干場へ行くと、狐は、一族を引き連れて来ている。三右衛門は狐を全部、豆にして藤袋へ入れて、小さいばえで叩き、痛がる狐にがまんさせて、大きなかけやで叩き、退治してしまう。三右衛門は、身代持ちの男子と金持ちの船頭の身代をもらう。それ以降、ならこに狐はいなくなった。