| 概要 |
どこから来たかわからない男が大きな松の元にいた。赤松の大きな木のもとで育った。太い枝の所に鳥の巣がある。その中に雄鳥と雌鳥とコッコ鳥と三羽いる。毎日、朝になると雄と雌がえさを探しに出る。その鳥達の餌を探す間に、その木の元の餌も持ってくる。時には暖かい御飯も持ってくる。大きくなってくる。ある日、夜になってもお父さん鳥の方が帰ってこない。朝になると帰ってくる。海の東のむこうに大きな山がある。その山には神達が集まって遊ぶ所がある。そのすぐ隣には化け物が集まる所である、という。その木の元に育った男は、自分1人であるのがさみしい。鳥達の話すのがみな解る。それでその神達のいる所へゆきたいので海の神に頼む。海の水は土のように踏んでも沈まない。それで神の集まる山へゆく。成程、山の上はきれいな庭になっている。窪みに入って昼寝をしていると空から白い雲がわいて何かいるなと思っていると女の人がいた。又同じような事で美しい女性が羽衣を木にかけて降りてくる。もう1人も木に羽衣をかけて降りて楽しんでいる。その隙に自分の上から降りてきた女の羽衣を隠す。自分も1人ぼっちだから、語ってきかせてくれといって元のようにして今度は二人で海を渡る。木の元に返ってみると、鳥の親が言ってきかせる。神様がすべて造った。その後に人間をこしらえたのがお前でその娘の事も羽衣の事も神の意志だから、沢山の子供をつくれといって去ってゆく。男はいつまでも拝む。神から刃物などを授かって、いい人間をそこへつかわしてもらう。自分たちの家の近くに住まわせ、狩をして海の向うへいって何とでも替えてもらう。舟も造り木も酒も食する。鳥の親に酒も祭って過ごした。それから始まったのがアイヌである。 |