日本昔話資料:稲田浩二コレクション
データ番号 Q05421-A02
題名 話千両
題名(ヨミ) ハナシセンリョウ
時間 7分52秒
話者
収録年月日 1971-09-26
収録地 山形県最上郡鮭川町
収録者 稲田浩二
OWC AB16
日本昔話タイプ 【IT434;話の功徳】
話形分類 TA. 話千両;ME. 話千両
概要 「昔あったけど・・・・・どんですかんこねっけど」
昔、かかとおやじがいた。おやじは東京に出かせぎに行った。一年で30両もうけ、帰ろうとしたが、「一口十両」という立札をみつけ、おもしろい話でも持って帰ろうと思って買った。ところが「大木(おおぎ)より小木」というだけである。もう少し、と思ってもう一口かうと「急がばまわれ」という。あまり物足りないのでもう一つ買うと「短気は損気の素」と語る。手ぶらになったが、家に帰ろうとしている途中、にわか雨がふってきた。雨やどりをしようと大木の下に入ったが、雷が強くなり、「大木より小木」の言葉を思い出し、小木に移った。すると、今居た木に雷がおちて二つに裂けた。助かった、と思っていると、今度は大[雨?]のために川が増水してきた。渡しの舟がきたが、「急がばまわれ」ともいわれたし、ひっくり返ったら大変だ、と橋を渡った。ところが舟の方は多勢が乗ったので、ひっくり返ってしまった。命拾いをした、と喜んで家に帰った。ところが、暗くなってからのぞいてみると、かかはおしょうさんと酒を飲んでいた。腹がたって、なぐりこもうかと思ったが、「短気は損気の素」と思い出し、へりからまわって「今帰った」といった。和尚はあわてて古しゅずの中に入った。かかはよく帰った、と飯をたべさせた。金を持って帰っていない、というのでかかが残念がると、しゅずを売るから大丈夫だと、夫は和尚の入っているしゅずを持って寺に行き、100両で売ろうという。とまどう小僧に和尚は金のありかを教え、ついに100両で買わせた。和尚は一年分かがしたので損はないはず。短気はおこすものでない。恥をがまんして頭を使ったのは大したものだ。かかと二人で喜んでくらした。