近代日本の身装文化(身装画像)
説明 1903(明治36)年、1904(明治37)年、1905(明治38)年当時の花月巻の流行はずいぶん盛んだったようだ。明治20年代の束髪は後頭部にひっついたような縦型の髷で、華やかさの乏しいものだったから、山の手の教育のある家庭の女性や、女教師などのほかはあまり結う人がなかった。それが川上貞子風とか下田歌子風とかいわれるものを経て、前髪を膨らますことが時代の好みに合い、最初はとりわけ前髪を高く盛りあげている。そのため、毛の少ない人は金属製の輪のようなものを使って膨らませた。花月巻というのは、前髪とは無関係な頭頂の髷の結び様なのだから、結んだ人以外にはよくわからないだろう。この小説のヒロインの髪については作者の徳田秋声が第16回で「髪を花月巻というのにして」とはっきり指示し、挿絵担当の筒井年峯によって同じ髪型がくりかえし描かれている。第25回はもっともはっきり描かれている場合で、髷にバラの造花が飾られている。ヒロインは愛する庇護者に捨てられて、みずから命を絶つ悲劇の人で、貧しい娘だが、その敵役の派手な金持ち娘も第62回で花月巻、また第29回でお茶を運んでくる下女も花月巻、花月巻の流行ぶりが理解される。もっとも髷自体が花月巻なのかどうかは実はわからない。前髪を大きく、高く膨らませたスタイルが花月巻風、ということだ。(大丸 弘)
ID No. Z02-130
出典資料 時事新報
発行年月日 1903(明治36)年12月22日号 6面
画家・撮影者 筒井年峰(筒井年峯)(1865-没年不詳)
小説のタイトル 血薔薇(ちそうび)(29)
作者 徳田秋声(1871-1943)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D4ge:[下女;下男;召使い]
D2so:[束髪(前期縦型の)]
D3ob:[帯の締め方;帯の位置]
時代区分・年代 20世紀初め;1903(明治36)年
国名 日本
キーワード 女中;花月巻;お太鼓結び;配膳;盆を捧げ持つ;横顔;側面;襖(ふすま)
男女別 女性
体の部分 全身;上半身
関連情報 Z02-129, Z02-130, Z02-131, Z02-132, Z02-133