近代日本の身装文化(身装画像)
説明 村井弦斎と村上浪六とは、明治後期の大衆にもっとも人気のある作家であったと同時に、その後の大衆には急速に忘れられてしまった、という点でも共通している。その理由はわからないが、大長編である弦齋のこの『日の出島』や、浪六の同じく大長編『八軒長屋』などは、どちらも寄席で聴くくすぐりのような諧謔(カイギャク)趣味が基調になっていて、それはこの挿絵にも共有されている。上京してくる夫の両親、つまり舅姑にはじめてお目にかかるというので、念入りに磨き上げた、あんまり御器量がいいとはいいにくい奥様の晴れ姿、下女たちが小声で「御出座ァ」と声をかけて口元を押さえて笑っている。この時代、不美人には決まった顔かたちがあって、それは女中などの顔というと常套的にそう描かれた。しかし教育もある奥様を女中顔に描くわけにはいかない、というところに画家の苦心があったろう。曳裾は一般にはもうなくなっていて、正月などおめでたい行事だけに曳く、という風になっていた。もはや大仰な姿になりつつあったのだ。(大丸 弘)
ID No. N96-004
出典資料 報知新聞
発行年月日 1896(明治29)年9月22日号 1面
画家・撮影者 鈴木華邨(1860-1919)
小説のタイトル 日の出島:御出座
作者 村井弦斎(1863-1927)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D2so:[束髪(前期縦型の)]
D1ka:[髪飾り(櫛,簪,リボン)]
D3hi:[曳裾]
Vob:[帯]
D3ob:[帯の締め方;帯の位置]
Vhan:[半襟]
D4ge:[下女;下男;召使い]
D80:[姿勢;ポーズ(特異な姿勢・ポーズ・格好一般)]
時代区分・年代 19世紀終わり;1896(明治29)年
国名 日本
キーワード 晴れ姿;あげまき;曳き裾;丸帯;お太鼓結び;帯揚げ;前垂れ;口元を押さえる
男女別 女性
体の部分 全身