| 説明 | この時期の新聞挿絵には散髪床の情景がしばしば出てくる。東京・大阪の1890(明治23)年の街といっても、庶民の目に入るものは道筋といい商店の姿といい、まだ江戸時代と少しも変わらない部分が多かったろうが、その中で散髪店は前代の髪結床と較べて、がらりと様子の変わったもののひとつだ。この日の本文の中で順番を待っている客たちの会話のなかに、「アア残念閔子騫(ザンネンビンシケン)」などという漢籍の素養から出た冗談があるかと思うと、天長節だの天気予報だのという開化の新語が次々と飛び出す。小説の題の天保商人というのは、この時代とにかく頭の古い人間をさして天保老人とくさした、その悪口と関係がある。少し時代は下がるが、森鴎外の『百物語』のなかにも、明治生まれの若い人、といった言い方があって、昭和になってからの「明治生まれ」についての一般的認識とは当然のことながら大きな差を感じる。その客も職人も揃って履いているのは表付きののめりの駒下駄。江戸時代の庶民の履き物は草履だったのが、明治になってからはかなりの貧乏人でも駒下駄を履くようになり、それも畳表付きが多かった。(大丸 弘) |
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| ID No. | N90-003 |
| 出典資料 | 大阪毎日新聞 |
| 発行年月日 | 1890(明治23)年10月31日号 3面 |
| 画家・撮影者 | 歌川国峰(1861-1944) |
| 小説のタイトル | 天保商人(29) |
| 作者 | 木内伊之助(愛渓逸史)(生没年不詳) |
| 資料タイプ | 挿絵 |
| 身装画像コード | H844:[髪結い床;美容・理髪店] D2ot:[男の髪型] Wge:[下駄;クロッグ] Wmae:[前掛;エプロン;割烹着] Vhao:[羽織] Vhat:[半天;どてら] Wta:[タオル;手拭い;手拭い被り] Vta:[足袋] D1hi:[ひげ] |
| 時代区分・年代 | 19世紀後半;1890(明治23)年 |
| 国名 | 日本 |
| キーワード | 散髪床;のめりの駒下駄;竪縞のきもの;格子のきもの;前垂れ;前掛け;豆絞りの手ぬぐい;紺足袋;八字髭;新聞;足を組む |
| 男女別 | 男性 |
| 体の部分 | 全身;坐臥 |