近代日本の身装文化(身装画像)
説明 春先の東京郊外を散策する中年の夫婦。目的は堀之内のお祖師さま方面。杉並のこのあたりは「青々とした田畑に、鳴く鳥の声さえ音楽の様に聞こえ(……)」という田園風景だった時代。迷子らしい幼児に家や家族のことを尋ねているのだが、幼子の回らない舌にてこずっている。夫は中折帽子にラペルのずいぶん大きな外套、縞のズボンによく磨いた黒の短靴は、通勤の姿となんの変わりもないが、和服以外カジュアルウエアというものをまだ知らなかった、この時代の男ではやむを得ない。妻君の丸髷の髷は滑稽なほど大きく、上に突き立っている。たぶん大一番という髷型の入った特別大きな髷。当時の人は丸髷ほど色っぽい髪はない、と言っているが、いまの人にはその実感はむずかしい。人妻の日本髪は丸髷と決まってしまっていて、せいぜい根を下げるとか、髷の大きさを変えるとかくらいしか選択の幅がなかった。束髪や洋髪に人気のあったのは、変化の乏しい日々を送っている妻が、小さなイメージチェンジを楽しめたためもあるだろう。小紋のきものの裾から見えるのは白足袋に草履ばき。当時のこの辺りの道では、白足袋は半日で真っ黒になるはず。その足は極端な内股で、女性は小さいときから、こんな歩き方になるようなしつけがされていた。(大丸 弘)
ID No. N11-008
出典資料 朝日新聞
発行年月日 1911(明治44)年11月17日号 7面
画家・撮影者 名取春仙(1886-1960)
小説のタイトル 友(47)
作者 藤生てい(てい女)(生没年不詳)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード Wbo:[かぶり物一般;帽子]
Wme:[眼鏡]
D1hi:[ひげ]
Pov:[オーバーコート(外套)]
Wkut:[靴;サンダル;靴修理;靴磨き]
Wtu:[杖;ステッキ;松葉杖]
D2ma:[丸髷]
Vko:[コート(女性和装外套)]
Wku:[頸覆い(マフラー,ストール,襟巻,ショール)]
Wzo:[草履;草鞋]
D011:[男の幼児(だいたい就学以前)]
Wmae:[前掛;エプロン;割烹着]
Vob:[帯]
時代区分・年代 20世紀前半;1911(明治44)年
国名 日本
キーワード 中折帽子;中折れ帽子;口髭;縞のズボン;肩掛け;ぞうり;内股;エプロン;筒袖;兵児帯
男女別 男性;女性;男児
体の部分 全身