近代日本の身装文化(身装画像)
説明 西ノ宮に近い兵庫県の農村、村のかつての庄屋邸の一人娘、近く結納のはずになっている男の悪い噂を耳にして塞いでいる。娘は十九、いま駅まで人を送ってきた。作者は古風に登場人物の丹念な衣裳付けをしている。「桟道縞風通お召の小袖に、縮緬疋田の長襦袢、大柄友禅と黒繻子の昼夜帯を太鼓に結び、鴇(トキ)色板締の縮絹(チヂミ)の帯揚げ、浅黄地繻珍に金の帯留、左の無名指に金の指環(……)」。髪は高島田で黒い蝙蝠傘を日傘にかざし、白足袋に小町型の塗下駄、という姿。それほど遠い道のりではないらしいが、この時代の田舎道を歩くにはあまり歩きやすいとはいえなそうだ。嫁入り前のこの娘が高島田なのは当然だが、四年前のまだ父親の生きているとき、娘が桃割れだったことを母親は懐かしんでいる。桃割れはまだ肩揚げのある十代の娘にいちばんよく結われる髪。その母親はまだ四十三、それでももう髪は年寄り風の茶筅(チャセン)髪にし、第4回で丸胴の火鉢を挟んで娘の言いぐさを聞いている。「木綿ながら上品に着こなして黒繻子の丸帯を巾狭う、二布の前垂に膝の穢れを掩いたり」という、いまは水仕事も自分の手でしなければならない日々の暮らしの姿。(大丸 弘)
ID No. HC04-026
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1904(明治37)年9月19日号 4面
小説のタイトル 弓矢神(4)
作者 渡辺霞亭(黒法師)(緑園)(朝霞隠士)(無名氏)(匿名氏)(1864-1926)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D004:[適齢期の娘;新造;(1) 嫁入り前の娘,新妻,さらに一般の他家の妻女をいう。]
D2sim:[島田;高島田]
Vhan:[半襟]
D3ob:[帯の締め方;帯の位置]
D006:[初老の女性(40~50歳代)]
D2:[ヘアスタイル]
D1me:[眼・眉毛周辺の状態(眼・睫毛・眉の化粧)]
時代区分・年代 20世紀初め;1904(明治37)年
国名 日本
特定地域 兵庫;西宮
キーワード 高島田;お太鼓結び;茶筅髪(ちゃせんがみ);眉落とし;火鉢;火箸;襖(ふすま)
男女別 女性
体の部分 全身;坐臥
関連情報 HC04-025, HC04-026