近代日本の身装文化(身装画像)
説明 夫の心得違いからすっかり零落した一家、その貧しい家を訪れたのは夫を誘惑したうえ、家財を失うほどの投資に誘った張本人の女。第77回のその眼鏡の女は、髪は銀杏返し、黒紋附の羽織の上に、糸瓜(ヘチマ)襟のコートを重ねている。つぎの第78回では前非を悔いて誘惑した夫の妻であるヒロインに、両手をついて詫びている。ヒロインは乳飲み子を胸にして、学友である友人の告白と詫びに、当惑し、返事に窮している。いまは明日の米にも苦労する身で、下町風の襟対の縞のきもの、引っかけらしい帯は畳についている。女性も正式には男と同じような黒紋附を着る習慣は、このころから定着しはじめた。その場合、格式にこだわるなら、きものは小紋の白襲になる。ヒロインは女の詫びを入れたうえ、その勧めに従って、裁縫教員として職業に就くこととなった。第79回はそのヒロインが、頭を結い慣れない束髪に結い変えて、かつての恋仇の女性とともに家を出る姿。友人は第77回,第78回と変わりないが、ヒロインは黒縮緬の羽織に細縞のきもの、髪は慣れない束髪。この束髪は、前の日髪を洗ったばかりというヒロインに、「束髪になさるとちょうどいいじゃありませんか」と言って、「きのどくがるを強いて夜会に結び了りぬ」とある。相手の女の束髪についてはなにも言っていないが、この時代の上げ巻の束髪は、一般に、髪を捻って上げる傾向が強いようだ。(大丸 弘)
ID No. D12-036
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1901(明治34)年1月29日号 7面
小説のタイトル 下闇(くだりやみ)(78)
作者 加藤眠柳(生年不詳-1920)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D2ic:[銀杏返し]
Wme:[眼鏡]
Vhao:[羽織]
D2so:[束髪(前期縦型の)]
D2ya:[夜会巻]
Vhan:[半襟]
D000:[乳児;赤ん坊]
Vyo:[夜着;夜具;掻巻]
時代区分・年代 20世紀初め;1901(明治34)年
国名 日本
キーワード 黒紋付き羽織;竪縞のきもの;布団
男女別 女性
体の部分 全身;坐臥
関連情報 D12-035, D12-036, D12-037