近代日本の身装文化(身装画像)
説明 サクセスストーリーの逆で、将来も保証された官吏の身でありながら、相場に手を出して失敗、貞節な妻をも捨てて家出したあげく、車夫にまで身を落とす男の物語。主人公は髭を蓄えていて、その末端が上に跳ね上がっているのはカイゼル風ということになる。開化期には髭といえば紅毛の異人を意味したが、この時代には官員さんを陰でいう言い方になっていた。軍人以外の官員さんたちがあまり髭を生やさなくなったのは、第一次世界大戦の結果、カイゼル髭の本家、プロイセン王のウィルヘルム二世(在位1888~1918)が失脚したせいもあるかもしれない。ただし、そのカイゼルの髭は、末端を直角に近く上に跳ね上げていた。主人公はこれから銭湯に行くので、妻が、「石鹸と手拭と呉羅(ゴロウ)の布の垢擦」、それに三銭の湯銭を手渡されている。銭湯の男湯へ、こういう立派な髭のおじさんが、それほど立派でもない体つきで、石鹸箱や手拭いで前を押さえて入ってくると、子どもなどにはなんだか場ちがいな、滑稽なような、ときには可哀想なような感じがあったそうだ。(大丸 弘)
ID No. D12-003
出典資料 大阪毎日新聞
発行年月日 1900(明治33)年5月21日号 8面
画家・撮影者 阪田耕雪(坂田耕雪)(1871-1935)
小説のタイトル 現世相(1)
作者 水谷不倒(1858-1943)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D1hi:[ひげ]
Vhao:[羽織]
Wta:[タオル;手拭い;手拭い被り]
D2ma:[丸髷]
D0ny:[入浴;浴場;行水]
時代区分・年代 19世紀終わり;1900(明治33)年
国名 日本
キーワード カイゼル髭
男女別 男性;女性
体の部分 全身;坐臥