近代日本の身装文化(身装画像)
説明 第43回は、夫の新しい勤め先の社長のもとへ年末の挨拶に行く妻。「湯に入り髪を結わせ、久々にて形を整え、磨けば輝く玉の顔(カンバセ)」とあって、貧しいその日暮らしのなかではたぶん一張羅のよそゆきか。第42回は前夜、夫と言葉を交わしながら、明日着てゆくものを選び出している若い妻。社員を家族ぐるみで家に呼んで忘年会をするような会社だから、町工場程度の小さな企業だろう、その下っ端社員の女房では、選ぶというほどのよそゆきもないにちがいない。夫は「近所の髪結に頼んで、髪ぐらいはさっぱりとして置いた方がよかろう」と言い、「この春結って貰ったままでございます、明日湯に入った時髪を洗って参りましょう」「もう是からは得意にして、始終髪を結わせるがいい」という会話がつづく。隅金具のあるやや古風な小箪笥だが、その上にもうひとつ、衣裳箱らしいものが重ねてある。火事のときなどに持ち出しやすいように、両端に鐶の付いた本式の長持ちの類のほか、虫除けや湿気に強いということで、家庭ではよく、竹行李ではなく茶箱を衣裳入れに使っていた。ともあれ箪笥がある、ということは、この二人がそこそこの暮らしをしている証拠になる。春結わせたという髪も翌日結った髪も銀杏返し。この時代、半年ぐらい、髪を洗わないことはめずらしくなかった。その間、丁寧に撫で付けておけば持たないこともないが、銀杏返しは素人が自分で結うこともできる髪。(大丸 弘)
ID No. D10-032
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1898(明治31)年12月25日号 4面
小説のタイトル 霜だゝみ(42)
作者 半井桃水(1860-1925)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D2ni:[日本髪一般]
D2ic:[銀杏返し]
Vob:[帯]
D3ob:[帯の締め方;帯の位置]
D80:[姿勢;ポーズ(特異な姿勢・ポーズ・格好一般)]
Eho:[保存・収納・管理の技術・用具・設備;たたみ方;ハンガー]
H000:[照明;照明具(一般)]
時代区分・年代 19世紀終わり;1898(明治31)年
国名 日本
キーワード 箪笥(たんす);ランプ;お太鼓結び;竪縞のきもの;立て膝
男女別 男性;女性
体の部分 全身;坐臥
関連情報 D10-032, D10-033