| 説明 | 新橋発、神戸行きの夜行列車に乗り合わせた人々。先の戦役で夫を喪った女性はまだ二十四,五の若さ。三,四歳の男の子を連れて身動きもできない状態の三等の旅。「秋田織の黒の一つ紋の羽織の羊羹色になったのに、秩父銘仙の格子縞の、これも申の時過ぎたのを着て居る。海老茶色の毛糸の手織の肩掛に、白ケットの随分汚れたのを一枚、子供の肩から掛けてやり(……)」とあって、質素というより苦しい生活が窺われる。申の時というのは江戸時代の時刻法の、午後四時頃の日盛りを過ぎた時刻で、くたびれた衣服をいう常套語。束髪はふつうじぶんの手で結えるのだが、夜会巻は時流のやや技巧的なスタイルなので、大阪へ行くために髪結賃をはずんだのかもしれない。隣に座っている二重外套のフードを深々と被った男は、外套の下は縞のきものに黒紋附の羽織、黒の山高帽で八字髭を生やした紳士、話してみると共通の知人のいることが分かり、再会を約束して別れる。(大丸 弘) |
|---|---|
| ID No. | D09-062 |
| 出典資料 | 都新聞 |
| 発行年月日 | 1897(明治30)年2月26日号 3面 |
| 小説のタイトル | 三都走馬灯(5) |
| 作者 | 広津柳浪(1861-1928) |
| 資料タイプ | 挿絵 |
| 身装画像コード | G3:[駅舎;空港] D016:[中年~初老の男性] Vwa:[男性和装外套] Wge:[下駄;クロッグ] Wka:[鞄] Wbo:[かぶり物一般;帽子] D005:[20~30歳代の女性;年増] D2so:[束髪(前期縦型の)] Wku:[頸覆い(マフラー,ストール,襟巻,ショール)] |
| 時代区分・年代 | 19世紀終わり;1897(明治30)年 |
| 国名 | 日本 |
| キーワード | [インバネス;トンビ;鳶(とんび);二重回し;二重廻し;二重外套;二重マント];竪縞のきもの;ショール |
| 男女別 | 男性;女性 |
| 体の部分 | 全身;群像 |
| 関連情報 | D09-060, D09-062 |