近代日本の身装文化(身装画像)
説明 病床の男と見舞客。日本人が西洋風の生活を体験した最初の機会のひとつは、大きな病院に入院したときだったろう。もちろんそういう体験を持った人は多くはないのだが、病室の内部の設えや病人の起き臥しの様子は、見舞客にも理解できる。小説作品の中にも病院への見舞いの場面は――夏目漱石の『三四郎』の東大病院のような――けっこうあるものだ。それに比べると、西洋風ホテルに宿泊する機会はずっと少なかったろう。この挿絵の狭い視界の中でも、洋館式の窓とカーテン、上半身が凭(モタ)れるようにクッションのセットしてあるベッド、真っ白なベッドカバーとシーツ、そして見舞い客の座っている回転椅子など、どれもこの時代の中流以下の日本人の家庭にはめずらしいものだった。白いシーツは1910年代には順調に日本人の生活に溶け込むが、白い布団カバーは戦後になっても、病院の布団みたいだと言って嫌う人があった。クッションに凭れる、という寝方は、結局、日本人の多くには受け入れられなかった。(大丸 弘)
ID No. D09-009
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1897(明治30)年2月25日号 2面
小説のタイトル 玉藻の床(44)
作者 半井桃水(1860-1925)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード H853:[病院;病室;医療施設]
D6se:[洋装;西洋化;西洋観;ハイカラ;西洋かぶれ;開化ぶり;西洋憧憬]
D4by:[病人;けが人;障害のある人]
Vyo:[夜着;夜具;掻巻]
時代区分・年代 19世紀終わり;1897(明治30)年
国名 日本
キーワード お見舞い;ベッド;枕;シーツ;椅子
男女別 男性
体の部分 全身;上半身;坐臥;横臥