近代日本の身装文化(身装画像)
説明 この時代の嫁入り前の女性の着こなし。海軍軍人だった父親の亡きあと、継母によって育てられた娘。自分の夫は父同様の軍人と心に決めているため、母親の勧める縁談に従うことができない。第52回の本文では、「父親の木像の前に親子とも泣き伏す」とあるが、挿絵の方は、娘が床の間の前でひとり、手拭いで涙を拭っている。自然木の床柱、黒塗りの床框、押板の上の大きな壺に飾られた梅の枝ぶり。こうした古風な床構だけでも、親子のそこそこの暮らしぶりが暗示される。この娘の髪型はいつも結綿(ユイワタ)風。娘が家でふだん着るきものはもっぱら縞もので、ただし一口に縞といっても、褞袍(ドテラ)の縞、老婦人の縞、粋な若い衆の縞、堅気の商人の縞などなどそれぞれに特色があり、この娘の第13回、第52回のちがいを見ても、縞には趣味豊かなヴァラエティのあることがわかる。第13回は、にわかの吹き降りに「急ぎ雨戸繰りにと馳せ登りぬ」とあるのだが、これでは階段を駆け上がる、というわけにはゆかず、ことに下りるときには不便だったろう。京都で、ふだん家のなかで裾を曳いて生活していたのは、ほぼ明治二十年代まで、というある識者の指摘がある。(大丸 弘)
ID No. D07-053
出典資料 大阪朝日新聞
発行年月日 1895(明治28)年11月13日号 5面
画家・撮影者 二代目歌川貞広(三谷貞広)(1838-1908)
小説のタイトル ぬれぎぬ(52):心の嵐
作者 須藤南翠(南翠外史)(坎坷山人)(彩幻道人)(1858-1920)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D2ni:[日本髪一般]
D2yu:[結綿]
D3hi:[曳裾]
Wta:[タオル;手拭い;手拭い被り]
D801:[強い悩み・悲しみ・口惜しさ・羞恥の表現]
時代区分・年代 19世紀終わり;1895(明治28)年
国名 日本
キーワード 竪縞のきもの;結い綿風;曳き裾;手ぬぐいで涙をぬぐう;床の間;生け花
男女別 女性
体の部分 全身
関連情報 D07-052, D07-053