近代日本の身装文化(身装画像)
説明 娘とともに大阪の生玉社に詣でた身上のいい質屋の隠居。女中がお供についている。生玉神社は上町台地の端にあるので境内から大阪南部への眺望がきく。その絵馬堂で隠居は別家している弟と偶然出逢い、他家へ養子にやった実子のこと、今日連れてきた実は養女である娘のことなどを話し合う。挿絵は実際の情景というよりややシンボリックに人物が並んでいる。左の縁台に女中と腰掛けている娘は高島田、袘(フキ)の厚い二枚襲の裾から黒塗りの木履が覗いている。袖に手を隠して口を覆い、相手に耳打ちする、その相手はこれも袖に手を隠して軽く胸を押さえ、どうやら笑っているよう。女中の縞のきものもずいぶん袘が厚い。女中はどんな寒いときでも羽織は着られないから、ぼてぼての綿入だろう。その向こうに、宗匠頭巾を後ろ手に持ち、小紋の羽織を着て、景色を眺めている頭の禿げた老人が隠居。右側の腰掛けている二人は、隠居の知人とその連れの紳士。紳士は華族の御曹司で、二重外套を和服の上に着て、羽根をすこしだけ折り返している。二重外套の裾が地に着くくらい長い、二重外套は和服にも洋服にも用い、共用のものもあったが、和服用のものは一般に丈が長く、下に着ているものが隠れるくらい。しゃがんでいるのは丁稚。主人たちと同じ腰掛けに座るのを遠慮しているのだが、むかしの中間のようで古風なしぐさ。(大丸 弘)
ID No. D06-002
出典資料 大阪毎日新聞
発行年月日 1894(明治27)年2月17日号 3面
画家・撮影者 歌川国峰(1861-1944)
小説のタイトル 春野雉(はるののきぎす)(3)
作者 香川蓬洲(香川倫三)(蓬洲居士)(生年不詳-1929)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D2sim:[島田;高島田]
Vhao:[羽織]
Vwa:[男性和装外套]
Wbo:[かぶり物一般;帽子]
Wge:[下駄;クロッグ]
D1hi:[ひげ]
時代区分・年代 19世紀終わり;1894(明治27)年
国名 日本
特定地域 大阪;生玉神社
キーワード 高島田;裾の袘(ふき);羽織紐;[インバネス;トンビ;鳶(とんび);二重回し;二重廻し;二重外套;二重マント];山高帽子;八字髭
男女別 男性;女性
体の部分 全身;群像