近代日本の身装文化(身装画像)
説明 貧と福とを対照的に描いてゆく物語のなかで、このふたつの情景は車夫の貧乏所帯を描写している。とはいえ女房が手内職をし、十四,五の娘がもう茶屋勤めをしているといえば、極貧という暮らしではない。剥げ落ちた土壁に破れ障子、見るかぎりでは長火鉢に小屏風、紙屑入れと燭台の台を兼ねた踏台と、古風な行灯式のランプがひとつ、ほかに家具らしいのはふたつの画面からは見えないが、おそらくそんなものだろう。物入れの代わりになっているのは吊棚で、食器や瓶、なにか行李めいたものや枕までが載せてある。手拭いの吊してある竹竿には乏しい衣類も引っ掛けておける。「娘は母の姿の異様なるを見て、すこし眉を顰(シカ)め」とあるのは、母親が父親の半纏一枚の上に前掛けをしているため。母親のいうのには、質屋から袷を請け出してきたいのだが、その代わりに預けるはずの単衣を洗濯しようと、まだ手桶のなかだという。汗のついたままと洗ったものとでは、質の値がちがうのだ。いま着ている半纏と単衣を持っていけば、それで袷が請け出せる――といったやりくりが、この階層の人々の衣生活だ。(大丸 弘)
ID No. C21-053
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1888(明治21)年10月4日号 2面
小説のタイトル 貧福(24)
作者 宇田川文海(半痴居士)(1848-1930)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード H6:[和座敷一般]
D1me:[眼・眉毛周辺の状態(眼・睫毛・眉の化粧)]
Vka:[掛襟]
Wmae:[前掛;エプロン;割烹着]
D801:[強い悩み・悲しみ・口惜しさ・羞恥の表現]
Wki:[喫煙関連;タバコ;キセル]
時代区分・年代 19世紀後半;1888(明治21)年
国名 日本
キーワード 貧乏;眉落とし;黒襟;前掛け;前垂れで涙をぬぐう;畳;土壁;破れ障子;ブランケット;ケット;膝掛け;行灯;燭台;踏み台;火鉢;火箸;薬缶(やかん);長煙管(きせる);枕屏風;吊棚;高枕
男女別 男性;女性
体の部分 全身;坐臥
関連情報 C21-050, C21-053