近代日本の身装文化(身装画像)
説明 場末のあやしげな小料理屋。女将を入れて六人の給仕女がいる。もちろん娼家ではないのだが、客のほとんどは、その女たちを相手の戯れ言を肴に飲みに来る男たち。「銀杏返しに結って、蓮っ葉に真っ白い頸(ウナジ)から胸元をはだけた女は、あくどいような赤い唇をしていた。媚びのある眼で松三を見(……)、みんな軽い素肌の見えるような薄着をして、こってりと厚化粧をしている。仮面のような白粉を剥げば、とても見られないような顔であろうと思われる女も、卑しげな態度で職工風の男をよろこばせている」。胸元までの大きな白いエプロンを掛けてはいるが、本文の中に女給、という言い方は出てこず、女、という言い方で終始する。五十銭も出せば身を任せるだろう、と囁いている客もある。まるで一時代前の、宿場の居酒屋の気分。第11回以後は、そういう女たちの中では泥中の蓮のようなヒロインの娘。不思議に思った客のひとりが、「どうしてこんなところに奉公に来たんだい?」と尋ねる。この娘は大きな束髪に結っている。女性が勤めをすることを一般に奉公と言ったかどうか、この種のサービス業だからそう言ったのかどうか、その点ははっきりしない。女中さんや小僧さんを奉公人と呼ぶ慣習は、昭和に入っても残っていた。ともあれここに出て来る白いエプロンの女性たちは、広津和郎が描いたような、昭和期の銀座の女給などとは遠い隔たりがある。(大丸 弘)
ID No. A22-076
出典資料 都新聞
発行年月日 1922(大正11)年10月20日号 9面
画家・撮影者 石井滴水(1882-1945)
小説のタイトル 懸賞当選 悪戯(10)
作者 玉川正人(生没年不詳)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード H12:[大衆的飲食店;居酒屋;バー;カフェ]
D7jok:[女給(カフェー,飲食店ウェートレス)]
D2ic:[銀杏返し]
Wmae:[前掛;エプロン;割烹着]
時代区分・年代 20世紀前半;1922(大正11)年
国名 日本
キーワード 小料理屋;電灯
男女別 男性;女性
体の部分 全身;上半身;坐臥;群像
関連情報 A22-075, A22-076, A22-077, A22-078, A22-079, A22-080, A22-081