近代日本の身装文化(身装画像)
説明 日露戦争(1904年,1905年)で勇名を馳せた陸軍大将の二人の娘を中心に、ハイソサエティーの人間関係を描く。冒頭部分は、避暑に訪れた箱根強羅の別荘暮らしの日々。第1回は強羅から宮ノ下に向かう車中、二十二,三歳の既婚の長女と、父将軍との間に挟まれた、まだ学生気分の抜けないという一八,九歳の次女。「二人ともいま流行の分髪にあげて、柄はちがっているが、同じ地色のお召しの単衣を着て、眼に立つようなあかるい模様の帯をしめていた」とある。いま流行といっても、分け前髪の流行りはじめたのはもう七,八年も前のことだから、時代の先端ということではない。一言で流行というが、流行遅れではないという程度の穏健な流行と、好奇の目で見られるような目新しさのちがいはつねに存在していて、そのちがいは大きい。その点からいえば、二人の令嬢はともに耳隠しにしている。これは作者の言っていることではないが、第1回の姉、第4回の妹の髪が、幡恒春の挿絵ではあきらかにそうなっている。耳隠しはこの年あたりから話題になりはじめたトップモードで、かなりの批判を浴びていた。そんな新奇でいかがわしいスタイルを、この姉妹のような育ちの良い女性がしているのは不思議。多分、伊東深水などに毛嫌いされた耳隠しとは、極端にアンバランスな片耳隠しだったのではないだろうか。またあるいは、そんなことに気づきそうもないこの枯れたような父親のそばで、イギリスから帰ったばかりの姉と、その妹とは、アヴァンチュールめいた夢を胸に秘めているのかも。(大丸 弘)
ID No. A22-034
出典資料 大阪朝日新聞
発行年月日 1922(大正11)年6月23日号 4面
画家・撮影者 幡恒春(1883-1944)
小説のタイトル 永遠の謎(1)(1(1))
作者 長田幹彦(1887-1964)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D7sh:[小説のヒロイン;挿絵美人(この年の評判小説中の美人)]
D7re:[令嬢モデル]
D2yo:[洋髪;ウエーブ]
Wbo:[かぶり物一般;帽子]
時代区分・年代 20世紀前半;1922(大正11)年
国名 日本
特定地域 神奈川
キーワード 竪縞のきもの
男女別 男性;女性
体の部分 頭部;上半身
関連情報 A22-034, A22-035