近代日本の身装文化(身装画像)
説明 このヒロインはこれといって特色のある女性ではなく、おそらく高等小学校を卒業したあと、ほとんど世捨て人と言ってもよい父親と、東京の郊外でひっそり生きている数え十八歳の娘。母親とは生き別れで現在の消息はわからない、身の回りのことは、雇っている婆さんを頼りにするくらいだろう。この娘が晴着を着て外に出ることは滅多にない、と本文にあるので、四つの場面で彼女が着ている三種類のきものも普段着だろう。贅沢はしていなくても、広い屋敷でべつに不自由なく暮らしていける身分であれば、娘のふだん着が銘仙以下ということはない。第7回の秋草のかたわらに立つ彼女の履いているのは小町型の塗下駄で、十八の娘のごくふつうの履きよう。どの絵でも髪の毛がずいぶん乱れているが、これは髪油を使うことの少ない束髪ではやむをえない。束髪はたいていは自分の手でまとめ上げるため、その日によってかたちもちがう。日露戦争(1904年,1905年)後の、二百三高地といわれた高い髷もこの頃はもうだいぶ廃れた。二十歳前の彼女はまだ束髪櫛は使わず、リボンと小さな後ろ挿しだけが彼女の唯一のおしゃれのよう。(大丸 弘)
ID No. A09-011
出典資料 大阪毎日新聞
発行年月日 1909(明治42)年5月7日号 4面
画家・撮影者 山本英春(生没年不詳)
小説のタイトル 鈴江嬢(7)
作者 徳田秋声(1871-1943)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D004:[適齢期の娘;新造;(1) 嫁入り前の娘,新妻,さらに一般の他家の妻女をいう。]
D2hi:[束髪(庇髪など、後期平型の)]
D1ka:[髪飾り(櫛,簪,リボン)]
Wge:[下駄;クロッグ]
時代区分・年代 20世紀初め;1909(明治42)年
国名 日本
キーワード リボン;小町下駄
男女別 女性
体の部分 全身
関連情報 A09-008, A09-009, A09-010, A09-011