| 説明 | 二十五歳になるヒロインは、すでに五年以前に、婚礼の式と、一,二夜の同衾は済ませているという奇妙な状態の女性。御召の綿入れに紋縮緬の被布を着て、襟巻に首を埋めている。被布はこのまま家の中でも着ていられる衣服で、12月初旬の北国だが、旅に出るといっても、とくにこれ以上の防寒の方法はなかった。かたわらに置いてある提げものは、ここでは四季袋と言っているが、明治の中期以後女性に外出の機会が増えたのに伴い、信玄袋とか、いろいろな名称の似たような商品が考案され、さかんに宣伝された。口金の付いた、のちのハンドバッグ式のものが普及するのは、第一次大戦以後のことだろう。彼女の髪型はS巻の束髪とあるが、髪を捻って、真後ろから見て大きなSの字に似せるので、前からではわからない。真後ろを描いた第2回の絵でも、それほど真正直に、活字体のSに似せているわけでもないことがわかる。束髪は油をほとんどつけない人が多かったせいもあり、うるさいくらい、毛が顔にかかっているように描いている絵が多い。向かい側に座った学生帽の男はインバネスと本文にはある。ただし、この種の二重外套の呼称は作者によってマチマチ。(大丸 弘) |
|---|---|
| ID No. | A08-001 |
| 出典資料 | 大阪毎日新聞 |
| 発行年月日 | 1908(明治41)年1月1日号 9面 |
| 画家・撮影者 | 阪田耕雪(坂田耕雪)(1871-1935) |
| 小説のタイトル | 寒潮(1) |
| 作者 | 菊池幽芳(あきしく)(1870-1947) |
| 資料タイプ | 挿絵 |
| 身装画像コード | D7sh:[小説のヒロイン;挿絵美人(この年の評判小説中の美人)] D005:[20~30歳代の女性;年増] D2hi:[束髪(庇髪など、後期平型の)] Wku:[頸覆い(マフラー,ストール,襟巻,ショール)] Vhi:[被布] Whu:[袋物] |
| 時代区分・年代 | 20世紀初め;1908(明治41)年 |
| 国名 | 日本 |
| キーワード | S字巻 |
| 男女別 | 女性 |
| 体の部分 | 全身;坐臥 |
| 関連情報 | A08-001, A08-002 |