近代日本の身装文化(身装画像)
説明 旧主人筋の若君が銃猟の途中で道に迷い、たまたま山中のこの陋屋を訪れた。老人は破れ畳みの上で寒い思いをさせまいとして、持てるものすべて、娘のだいじな晴着までを若君のために提供している。「赤毛布(アカゲット)の真ん中へ、色の褪せた貉菊(ムジナギク)模様の更紗の茵(シトネ)、三枚重ねた其の上に娘の肩掛(ショール)を畳んで敷いて」、そこに座らせられた若君は、「猟服の上に此の家の娘お雪の晴着を羽織っている。大きな亀甲絣の米琉に、小菊模様の絹更紗の下着を重ねて、紫メリンスの扱帯(シゴキ)を巻きつけたが、長い振りからこぼれる紅絹裏、袖も通さず後へ投げて(……)鷹揚に坐るのであった」。これではまるで女装をしているようで、そのきものの持ち主は現にそばにいるというのに、若君は平然としている様子だ。画家はさすがに、その姿をあえて描こうとはしていない。両手をついている老人は小紋柄のきものに、袖無し羽織――関東でいうちゃんちゃんこを着ている。ちゃんちゃんこを着ると、急に年寄りくさくなるようだ。(大丸 弘)
ID No. A03-109
出典資料 国民新聞
発行年月日 1903(明治36)年12月13日号 4面
小説のタイトル 乳屋の娘(9)
作者 峡南
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D017:[男の老人]
Vhao:[羽織]
時代区分・年代 20世紀初め;1903(明治36)年
国名 日本
キーワード 袖なし羽織;ちゃんちゃんこ
男女別 男性
体の部分 全身;坐臥