近代日本の身装文化(身装画像)
説明 旧大名家の華族のもとに嫁入前の令嬢。第100回では従妹の娘とならんで岩に腰を下ろしている。水戸市に近い那珂川河口の平礒海岸、5月5日はかつては袷から単衣に移る衣更えの日だった。しかしまだ単衣では肌寒いというので、ネルやセルを着る新しい習慣が生まれていた。草履の鼻緒のこぼれている厚い裾を見ると、令嬢はまだ袷であるらしい。向こう側の従妹の髪はよく見えないが、たぶん同じようだろう。令嬢の前髪は先が鋭角に近いくらいに高く突き出ている。はっきりしたことはわからないが、下田歌子式というスタイルがこういうものらしい。第114回は婚礼を数日後に控えた自宅での夜。けっこうな屏風の蔭にお嬢様は脇息に凭(モタ)れ、指輪を見つめて物思い。5月半ばのこの季節では少々暑いのではないかと思えるが、二枚襲の上に被布を着ている。柄が桜なのでたぶんピンク系の色調だろうから、華やかなものだ。束髪は海岸のときに比べると、前髪の上部への突出はそれほどでなく、全体が大きい。この種の束髪は髱(タボ=後ろ髪)が襟につくように下に伸びているものが多いが、お嬢様の髱はつり上がっている。この点は日本髪の場合と同じ御屋敷風の高尚な感覚。ごく漠然とした意味では、花月巻風の範囲にも入る。(大丸 弘)
ID No. A03-007
出典資料 大阪毎日新聞
発行年月日 1903(明治36)年12月15日号 8面
画家・撮影者 阪田耕雪(坂田耕雪)(1871-1935)
小説のタイトル 家庭小説 乳姉妹(ちきょうだい)(114)
作者 菊池幽芳(あきしく)(1870-1947)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D7re:[令嬢モデル]
D2so:[束髪(前期縦型の)]
D1ka:[髪飾り(櫛,簪,リボン)]
Vhi:[被布]
Wyu:[指輪]
D80:[姿勢;ポーズ(特異な姿勢・ポーズ・格好一般)]
時代区分・年代 20世紀初め;1903(明治36)年
国名 日本
キーワード お嬢様;下田歌子式;花月巻風;リボン;中振り袖;屏風;脇息(きょうそく);頬杖を突く
男女別 女性
体の部分 上半身;坐臥
関連情報 A03-006, A03-007