近代日本の身装文化(身装画像)
説明 事件の端緒は小さな間違いから、という例のひとつ。美しい二十歳の人妻が、毎日夕暮れどきになると、夫の帰宅するまで二階の窓辺で欄干に身を寄せ、夕日を眺めるのが習慣になっていた。その姿を窓の下の壕の向こう岸から、ひとりの男がいつもこちらを窺っているのに気づく。ある日その男がうつむけに倒れているのを見て、女は門外に駆けだして、貴方どうしましたかと、男の身体に手をかける――というのは親切というか、好奇心が強いというか、家には使用人もいる人妻にしては、思慮の乏しい女性のようだ。二階の窓から認められる男の風態は、紺絣の単物に、垢つき汚れた白木綿の兵児帯、というと、すぐ眼の下くらいの距離ということになる。当時、苦学生の十人の七八人迄はこんな姿だったろう。女はもちろん初々しい大丸髷で、中挿の鼈甲の櫛に、赤い珊瑚玉の簪(カンザシ)、というおきまり。(大丸 弘)
ID No. A02-047
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1902(明治35)年9月6日号 4面
画家・撮影者 右田年英(梧斎年英)(1863-1925)
小説のタイトル 萩の下露(1)
作者 半井桃水(1860-1925)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D005:[20~30歳代の女性;年増]
D2ma:[丸髷]
D1ka:[髪飾り(櫛,簪,リボン)]
D3ob:[帯の締め方;帯の位置]
Qkas:[絣]
H59:[出入り口・窓越しの外の風景]
時代区分・年代 20世紀初め;1902(明治35)年
国名 日本
キーワード 大丸髷;鼈甲の櫛;玉簪;お太鼓結び;絞り柄の帯揚げ;紺飛白;欄干
男女別 男性;女性
体の部分 上半身