近代日本の身装文化(身装画像)
説明 読切りのショートショートだが、本文挿絵とも情報量は多い。長屋暮らしのふたりの女房が、台つきの座敷ランプを挟んで話している。この家の女のしているのは人仕事。頼まれ仕事ともいう。江戸時代には、女のする「勤め」といえば廓(クルワ)、「しごと」といえば針仕事を意味した。裁縫と書いてしごととルビの振ってあることも多い。女のいま縫っているのは町内の若い者の印半纏。既製品のない時代には、仕立て下ろしに手を通したければ、独り者の男は隣近所のだれかに頼むよりない。文中にあるように洗濯も同様で、そういう人仕事で暮らしを立てている子どもを抱えた後家さんや、身寄りのない婆さんがけっこういたようだ。ふたりの女は既婚者だから、いま亭主がいてもいなくても丸髷。着ているものは羽織ともすべて下町風に黒襟付きで、帯はかんたんな下げ結びにしている。タイトルの焼け穴とは、話に気をとられ、着ているちょくちょく着に、煙草の火を落として台無しにしてしまった、という顛末。ちょくちょく着はチョイチョイ着とも言って、ちょいとその辺に出歩くときの、ほんの少しマシなきもの。長屋暮らしの女房の多くにとってはこれが一張羅だった。(大丸 弘)
ID No. A02-025
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1902(明治35)年1月13日号 6面
画家・撮影者 河合英忠(1875-1921)
小説のタイトル 焼穴
作者 長沢別天(半眠子)(1868-1899)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D2ma:[丸髷]
Vka:[掛襟]
D000:[乳児;赤ん坊]
Vyo:[夜着;夜具;掻巻]
Vhat:[半天;どてら]
Esa:[裁縫;裁縫実習;裁縫用具;ミシン]
H000:[照明;照明具(一般)]
時代区分・年代 20世紀初め;1902(明治35)年
国名 日本
キーワード 長屋のおかみさん;黒襟;掻い巻き(かいまき);おもちゃ;印半纏;ちょくちょく着;ちょいちょい着;裁縫箱;絎け台;座敷ランプ
男女別 女性
体の部分 全身;坐臥