近代日本の身装文化(身装画像)
説明 連載ものは第1回に主人公のくわしい紹介があるのがふつうで、この時代はその紹介の半ばは着ているもの、つまり衣裳付けといわれる内容になる。「場違い銘仙の綿入れに、唐縮緬と小紋繻子の昼夜帯、前垂だけは八丈の牛蒡縞。扮装(イデタチ)で判断すると、先ず職人の娘であろうか、貌容(カオカタチ)の美しさ、飾れば何処までも上品になり、粧(ツク)れば何処までも意気になる、好悪(スキキライ)はさておき、十人は十人、美形という点に付いては、許すほどの女振。年は十八九の間、二十にはまだとどくまい」という半井桃水の説明に従って描いた右田年英による下町風の美女。じつはこれが詐欺まがいの働きを繰り返している莫連女。場違い銘仙、唐縮緬などいう素材は、この時代はまだ値段の安い実用品以上のものではなかった。若い女はよく前垂れの見栄に金をかける。かけたところで知れたものだったし。女の髪は潰しではないが根を下げて結った粋な島田。たっぷりした毛の島田は前髪をぐっと後ろにおさえ、髷はかなり根が低く、髱(タボ=後ろ髪)も首筋に引っついていて、いかにもきびきびした職人の娘風。吊り目の一重瞼も、下唇が垂れ気味に花びらのように描いたおちょぼ口も、浮世絵の美人画の伝統を守っている。黒襟付きの襟をわりあい引っ詰めて着ているのが今風で、また処女らしい印象を与えている。(大丸 弘)
ID No. A02-006
出典資料 東京朝日新聞
発行年月日 1902(明治35)年5月7日号 4面
画家・撮影者 右田年英(梧斎年英)(1863-1925)
小説のタイトル 写絵(1)
作者 半井桃水(1860-1925)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D7sh:[小説のヒロイン;挿絵美人(この年の評判小説中の美人)]
D004:[適齢期の娘;新造;(1) 嫁入り前の娘,新妻,さらに一般の他家の妻女をいう。]
D2sim:[島田;高島田]
Vka:[掛襟]
時代区分・年代 20世紀初め;1902(明治35)年
国名 日本
キーワード 下町風;黒襟;一重瞼;一重まぶた;おちょぼ口
男女別 女性
体の部分 上半身