近代日本の身装文化(身装画像)
説明 初老の女性の丸髷と、四十前後の自営の助産婦の束髪を、複数の角度から見ることができる。初老の女性は開業医の妻で、夫は六十四,五。古風に眉を剃っているのはこの時代ではまだめずらしくない。老人の髷が小さいのは年齢を考えて地味に地味に結う、ということもあるが、毛自体が少なくなるため。丸髷の前髪の細いのが際立つのは、見て取れるように額の毛が抜け上がって少なくなっているからだろう。とりわけ第19回の突き上げたような前髪が、心の冷たさを表すような気がする。この女性が初めて産婆の玄関を訪れたときには、いつもの小紋柄のきものの上に濃い色の紋付羽織を重ねている。女の羽織は礼装ではなく、このときも初冬の外出で寒さ防ぎのため、というのだが、濃色の紋付羽織となると、すでに軽い儀礼的意味も感じられていたのではないだろうか。産婆の束髪は縦型の上げ巻風だが、むしろ手束(ヅク)ね髪というべきだろう。束はほんらいツカネルだが、ツクネル(=こねる)と混同された、と『大言海』にはある。第25回に描かれたこの女性の帯は引っ掛け結びで、家にいるときにかぎる。(大丸 弘)
ID No. A01-129
出典資料 時事新報
発行年月日 1901(明治34)年12月8日号 7面
小説のタイトル 回春日記(19)
作者 林蘭園(生没年不詳)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D006:[初老の女性(40~50歳代)]
D2so:[束髪(前期縦型の)]
D2ma:[丸髷]
D1me:[眼・眉毛周辺の状態(眼・睫毛・眉の化粧)]
時代区分・年代 20世紀初め;1901(明治34)年
国名 日本
キーワード 上げ巻風;眉落とし;火鉢
男女別 女性
体の部分 全身;坐臥
関連情報 A01-127, A01-128, A01-129, A01-131