近代日本の身装文化(身装画像)
説明 東京下町の商家のお内儀、三十を少し過ぎた女でまだ眉を剃っている。下町にはむかしからの習慣が根強く残っているとはいえ、この時代になっては古めかしい人だろう。このお内儀についての前回の説明に、「そのつくりの一層地味なのにも、艶々しく気高さのほのめいて、襟のかかった唐桟の袷を着ながらも、屈身(カガミ)がちの大人しやかに、濃い髪にさして大きからぬ髷の形、くすんだ手柄のさらに奥床しさ」とある。人妻だから丸髷に決まっているが、髷、とだけいえばそれは丸髷のことを言った。ふだんは束髪で学校に通っている近所の娘の方は、日曜日というので伯母と出入りの髪結に勧められて、この結綿(ユイワタ)を結ってみた、という。娘の方は、「この髪は賎しいから、島田なら結うと申したのですが(……)」と弁解している。それに対して丸髷のお内儀は、なに貴方賎しいことがございますことかね、と娘の言葉を打ち消し、「いつもの御髪(オグシ=ここでは束髪)よりは日本の髪の方が、どうも人柄でよいように存じますの」と、通学もこの髪にしろと勧め、娘は答えに窮している。(大丸 弘)
ID No. A01-094
出典資料 読売新聞
発行年月日 1901(明治34)年6月5日号 1面
小説のタイトル 紺暖簾(1)(5)
作者 山岸荷葉(1876-1945)
資料タイプ 挿絵
身装画像コード D005:[20~30歳代の女性;年増]
D2ma:[丸髷]
D2yu:[結綿]
D1me:[眼・眉毛周辺の状態(眼・睫毛・眉の化粧)]
Vka:[掛襟]
時代区分・年代 20世紀初め;1901(明治34)年
国名 日本
キーワード 眉落とし;黒襟
男女別 女性
体の部分 全身;上半身;坐臥