| 説明 | 裏店は障子一枚が外と内との境ということもある。その障子を開けて中を覗いているのは町内の鳶の若者。大体が半纏で過ごしている稼業の人間が羽織を着ているのは、なにかあらたまったことでもあったついでに寄ったのか。鳶の暴れ者というより商人風。内にいるのは五十五になる絵師の後家。名利に無頓着だった画人の亡きあと、父のあとを追って絵の道に精進する二十五になる一子とともに、九尺二間の家で「貧民窟」住まいをすることになった。「見る影もなく窶(ヤツ)れ果てたれど、どことなく品位備わりて、根からの卑しき人とは見えず」とあるように、継ぎも見えない縞のきものをきちんと着こなし、勝手口の明かり障子のそばで針仕事をしている。貧民窟というとおきまりの障子や壁の破れも描かれていない。この時代は五十五というとすでに老婆で、髪は無造作な手づくねで馬の尾風。いぼじり巻(疣毟巻)とか、いろいろにいわれた。髪の量がいちじるしく減り、髷のひどく小さいのが老人の特色。背筋がピンとしているのは品位のしるしだろう。(大丸 弘) |
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| ID No. | A01-039 |
| 出典資料 | 東京朝日新聞 |
| 発行年月日 | 1901(明治34)年3月20日号 4面 |
| 画家・撮影者 | 右田年英(梧斎年英)(1863-1925) |
| 小説のタイトル | 遺物の軸(かたみのじく)(1) |
| 作者 | 半井桃水(1860-1925) |
| 資料タイプ | 挿絵 |
| 身装画像コード | D006:[初老の女性(40~50歳代)] D2:[ヘアスタイル] Vka:[掛襟] Esa:[裁縫;裁縫実習;裁縫用具;ミシン] D014:[若い男(20歳前後~30歳前後)] Vhao:[羽織] |
| 時代区分・年代 | 20世紀初め;1901(明治34)年 |
| 国名 | 日本 |
| キーワード | 馬の尻尾風;疣毟巻(いぼじりまき);いぼじり巻;黒襟;竪縞のきもの;針仕事;裁縫箱;絎け台;物差し;鳶職;商人風;格子のきもの;竪縞の羽織;貧民屈;貧乏;障子 |
| 男女別 | 男性;女性 |
| 体の部分 | 全身;坐臥 |