文献番号 | 01_GE003439 |
---|---|
著者名 | 簡中昊/CHIEN, CHUNG HAO |
書名・論文名 | 大鹿卓の『野蛮人』:植民地時代における二元対立論への挑戦 |
掲載誌名 | (国際日本文化研究センター)日本研究 47 |
出版者 | |
発行年月日 | 2013 (3) |
ページ | |
掲載ページ | pp.109-126 |
シリーズ名 | |
OWC | AD;AB |
地域・民族名 | 台湾;日本 |
特定地域名 | |
時代区分 | 20世紀前半;1934年 |
時代通称名 | |
キーワード | 台湾原住民;蕃婦;漢民族女性;蕃服;野蛮人 |
抄録 | 日本人作家大鹿卓は、その出世作である短編小説『野蛮人』において、植民地時代の台湾原住民を題材に、いわゆる「野蛮性」を描写することによって独自の原住民像を作り、それに憧れる主人公を描いた。具体的には原住民女性の原動と旧習としての「馘首」の背後にある社会の仕組みを取り上げ、原住民の「野蛮」の精神を知らせた。「野蛮」を賛美することによって、日本を優位に置き台湾を劣位に据えるという当時の社会通念ないし「野蛮/文明」の二元対立の図式を反転させようとした。小論はテキスト分析を通して「野蛮」の意味を分析し、植民地期の台湾文学における原住民と漢族の女性像を比較して、大鹿の創作意図を検討する。大鹿の「蕃婦」像は、「野蛮/文明」という二元対立論とは異なり、福沢諭吉の文明論や1930年代に流行したドイツの文化論の影響も見られない。作中では、「野蛮」の相対概念としての「文明」「文化」には言及されない。おそらく大鹿は最初から二元対立的な構造に陥ることを避け、植民地統治の現場の深層を探求するために書いたのではないかと考えられる。大鹿の創作の主眼は、近代日本が植民地台湾で作った優劣順位を覆すことにあっただろうが、台湾原住民の旧習であった馘首などがすでに帝国の視野に入っていたため、当時、彼の意図は結局理解されなかった。しかし、彼の試みは当時の植民地文学においては先鋭的なものであった。以上のように、小論は、大鹿の作品の歴史的意味を明らかにすることを目的とする。 |
身装概念 | AU104:[民族別;服装の民族比較] CP423:[日本人の外国観] CP423.0:[日本人の中国観] BP341:[文献資料] |
服装専門分類 | AP0:[総記;総記] |
資料タイプ | |
資料所在 | |
国会図書館請求番号 | |
日本十進分類 | |
版次 | |
備考 | |
言語 | |
リンク | 国立情報学研究所 CiNii |