身装文献
文献番号 01_AR072388
著者名 福原敏男/フクハラ トシオ
書名・論文名 雨乞の灯火風流 : 幕末兵庫津の事例
掲載誌名 国立歴史民俗博物館研究報告 117
発行年月日 2004 (2)
掲載ページ pp.251-268
OWC AB
地域・民族名 日本
特定地域名 兵庫
時代通称名 嘉永
キーワード 雨乞い;灯火の風流行事
抄録 嘉永五年(一八五二)六月三日夜より三夜連続して、兵庫津の二七の町々(現在の神戸市兵庫区の二六町と中央区の相生町に相当する)が雨乞を目的として、西国街道を舞台に一大灯火行列を繰り広げた。本稿では、その光と色彩と音のページェントともいうべき造り物風流を取り上げて、その風流史的意義について考察する。雨乞というと連想されるのは修験者の祈禱など、すぐれて宗教的な行為である。しかし、本稿で取り上げる雨乞は、危機儀礼というにはあまりに華美であり、新出の『嘉永五子年六月 福原雨乞記』(神戸市立博物館蔵)の挿絵を見ると、あたかもテーマパークにおけるイベント・パレードを見るような、心うきうきする楽しさがある。それはまた、観客の視線を意識した祭礼行列のようでもある。同書巻末によると、惣人数一万三百人あまり、ほかに北浜と南浜の町より加勢人足約五〇〇〇人、松明一二〇〇、半鐘四〇七、太鼓三〇四、大釣鐘四、八丁鉦三〇、法螺貝六三、弓張提灯七一二〇が参加したと記される。一般的に、村落の雨乞いの方法として、村中の人々が鉦・太鼓・法螺貝などを鳴らしながら、松明を持って行列を作って氏神などを出発して村を一周し、近くの霊山に登り、河原に降りてきて松明を積んで燃やす千本松明行事が知られる。兵庫津の事例はその都市版と想定できるが、兵庫津の内でも、農民が集住する「地方十八町」のうち一六町が参加しており、日照りは農業にとって深刻であったことをうかがわせる。稲の生育期の旧暦六月初旬における降雨の多寡は、稲作にとって死活問題だからである。毎年繰り返される年中行事と異なり、雨乞のような一回性の臨時の行事においては、殊に、各町の創意工夫が発揮され、まさに風流の精神が溢れ出る行事ともいえよう。
身装概念 AW482:[提灯;ちょうちん]
AU229:[礼拝;祈り;法事;神事;宗教的行為;呪術的行為]
AU222.0:[祭り;祭礼]
服装専門分類 AW4:[総記;もちもの]
リンク 国立情報学研究所 CiNii