| 文献番号 | 01_AR067400 |
|---|---|
| 著者名 | 松村敏/マツムラ サトシ |
| 書名・論文名 | 明治期・桐生織物業における織元-賃織関係の一考察 : 賃織業者の「不正」問題から |
| 掲載誌名 | 国立歴史民俗博物館研究報告 95 |
| 発行年月日 | 2002 (3) |
| 掲載ページ | pp.207-227 |
| OWC | AB |
| 地域・民族名 | 日本 |
| 特定地域名 | 群馬 |
| 時代区分 | 19世紀後半 |
| 時代通称名 | 明治 |
| キーワード | 織元;賃織業者;原料糸詐取問題 |
| 抄録 | 明治期に賃織業者を主要な生産主体として発展した桐生絹織物業の抱えていた深刻な問題は、賃織業者による原料糸詐取問題であった。すなわち、織元(問屋)が前貸しした原料生糸の一部を窃取して生糸商人に売り渡すことが恒常化していたのである。これは、発注主である織元が賃織業者の生産活動を常時監視しえない問屋制固有の重大問題であり、この問題はまた日本に限らずヨーロッパ経済史研究においても注目され、工業の主要な生産形態が問屋制から工場制に移行していった一要因とみなす研究者さえいるほどである。この問題に関する最近の研究として、近世期に織元がこの不正に対処した方法として株仲間による多角的懲罰戦略(不正を働いた賃織業者に関する情報を織元仲間に周知させ、以後仲間全員がその賃織業者との取引を拒絶するという私的な規約・制度によりこの不正を防止せんとする戦略)を高く評価する見解が現れている。近代(明治期以降)のように公権力による契約履行と所有権の保証が十分でない近世期においては、商人たちが私的に契約履行と所有権を保証する必要があったというわけである。ところが、この多角的懲罰戦略が実際に有効に機能したかという検証はないし、じつは国家権力が法と裁判によってこれらを完全に保証するという建前になった明治期以降においても、桐生の織元たちは繰り返し近世以来の多角的懲罰戦略を試みていたのである。すなわち裁判に訴えるコストなどから近代においても国家権力(近代法)による所有権と契約履行の直接的な保証は、賃織業者のわずかな不正を抑止させるまでには貫徹しない。そこで織元たちは、依然同業組合による多角的懲罰戦略を試行した。しかしそれが手直しされつつ繰り返されることからもわかるように、これもまた有効ではなかったのである。本稿ではその過程を追いつつ、多角的懲罰戦略が有効に機能しなかった要因とその意味を考察した。 |
| 身装概念 | CP202:[問屋;卸;卸売業] EQ41:[織物業;織布業;テキスタイル業] EQ410:[絹織物業] AP012:[服装史;服飾史;歴史的研究;歴史的推移;時間的変化] |
| 服装専門分類 | CQ2:[中間流通;布地] EQ4:[製造業;布地] |
| リンク | 国立情報学研究所 CiNii |