抄録 |
服装における色彩を選択する場合、どのような感情要因が存在するのであろうか。このような問題を明らかにするために、短大家政科女子学生(19~21才)100名を対象とし、服種別、季節別に、これから購入しようとする服の色彩を選ばせ、つづいてその色彩のイメージについて、30項目の形容詞による評定をおこなわせた。その評点から、形容詞相互間の相関係数を求め、成分分析をおこなった。そして、えられた形容詞の値に個人値を対応させ、各入が選んだ色彩を照合し、服装色選択基準となる、基本的態度の購造を検討した。色彩の試料および分類は、調査用カラー・コードに準じた。調査時期は1965年10月である。1.成分分析の結果、3つの成分が抽出された。第1成分は、服装色選択時における基本的態度の軸を意味するものである。第2成分は、平凡的・個性的タイプをわける軸であり、第3成分は、同調的・誇示的タイプをわける軸である。2.第2成分と第3成分との形容詞の値と、個人値との対応関係から、被験者をスマート、ポピュラー、モダン、オリジナルという、4つのタイプに分類することができる。3.個人値に被験者が選んだ色彩を照合すると、同じイメージで選ばれた色彩は多様であった。すなわち、服装における色彩のイメージは、色彩そのものに特有の感情が結びついている他に、デザイン、素材との影響が多分にあることを意味するものである。 |