日本昔話資料:稲田浩二コレクション
データ番号 Q05483-A05
題名 狐と狼
題名(ヨミ) キツネトオオカミ
時間 6分48秒
話者 :1900年生
収録年月日 1973-01-28
収録地 福井県小浜市
収録者 稲田浩二
西陽光
OWC AB28
日本昔話タイプ 変形【IT584;狐と狼】
話形分類 CA. 猿の仲裁
概要 「昔々・・・・・もっていんでしもうたっていう。」
昔々、山奥に狐と狼がいた。寒くなって食い物がなくなってきたので狐は狼にこのままでは餓死するから在所におりよう、といった。二匹でおりていくと、ごちそうをたくいいかおりがしたので、狼ははやくとりにいこうといった。狐は少しまて、といって厩のかんぬきをはずし、かんぬきで牛の尻をたたいた。家の人がびっくりしている間にごちそうをぬすんだ。そして仏壇のひきだしのさいふとくるみをぬすんで屋根でねむっていた。家人が帰ってくるとどろうぼうだ、と大さわぎになった。どろぼうもみあたらないのでねてしまった。夜中になって腹がへってきたのでくるみを食べよう、と狐がいいだした。狼はみつかるからやめろ、と止めたが、狐は瓦でくるみを割った。家人が気づき、大さわぎになると、狐はポーンと飛んで逃げた。狼も逃げようと飛んだが、尾が梯子にくくりつけられていた。それでも逃げようと必死だったので梯子がずるずるとひきずられていった。家人はくるみの上に梯子までもっていこうとする、といって狼をつかまえた。狐はそれを遠くからみていたが、安全になったところで、悪かったといって助け、宿でごちそうする、と約束した。狼は怒っていたがごちそうにつられて宿屋に連れられた。狐はさいふを出し、これは枕元においておこう、といった。狼はあすこそしかえしをしてやろうと考えていたが、狐は小便にいくふりをしてさいふの中を石にかえておいた。狼は朝早くおきてさいふを持って先に出発し、宿の主人には勘定はあとの者が払うといっておいた。狐はうまくいった、と朝ごはんをたべた。うるさい狼がいなくなったので四国へいこうとしたが、途中、道がくだけた。もぐらが出てきて家をこわした、と怒り、さいふを見て、自分のだ、とわめいた。けんかになったところで村人がきて、それは双方が悪い。もともと銭というのは人間の持つものでおまえらのものではない、といってさいふをとりあげて帰った。