日本昔話資料:稲田浩二コレクション
データ番号 Q05398-A06
題名 盗人女房
題名(ヨミ) ヌスビトニョウボウ
時間 6分19秒
話者
収録年月日 1972-03-27
収録地 新潟県長岡市
収録者 稲田浩二
笠井典子
OWC AB25
日本昔話タイプ 【IT440;盗人女房】
話形分類 TA. 盗人女房;CA. 勝々山;ME. 盗人女房
概要 「昔な、あるところのな・・・・・さけた。」
昔、ある所に盗癖のある女がいた。その女に婿が来た。ある日、「遊んでばかりいないで何か盗んでこい」と女がいった。婿は盗むのがいやなので、裏につんであったねぎをとってきた。女房はよろこんだ。湯をわかさせて蒸気にあて、青いねぎを皆黄色くした。そこへ隣りの人が盗んだとおこって、どなりこんできた。おまえのねぎはどんなねぎか、とたずね、隣の人が青々としたよいねぎだ、と答えると、うちのねぎは一月前にとった。こんなに黄色い、とみせた。隣りの人はあやまって帰った。そのねぎを町で売って楽にくらした。そのうち女房が食うものがなくなったので、またぬすんでこい、といいだした。婿はこんどは牛でも盗んで困らせようと思い、恐ろしい角のはえた牛をつれてきた。女房はまた湯をわかさせ、いやがる子牛をおさえつけ、角を熱い湯を使って曲げた。牛の持ち主の博労が来て返せといった。どんな角をしている、ときかれまっすぐな角のふとったいい牛だと答えると、角を丸めた牛をだしてきてみせた。博労はあやまって帰った。女房はその牛を町で売って、楽々とくらした。その内、また銭がなくなったので、女房は婿にまた何か盗んでこいという。婿は何とか困らせてやろうと、昨日、墓へ埋めたばかりの死人を掘って来た。女房はまたよろこんで湯をわかさせ、死人を湯で洗い、いい着物をきせた。酒屋まで持って行き、びんをだして、かわいい女の声で「こんばんは、酒を下さい」といった。酒屋の小僧はねむい所を起こされたので、腹をたてて、「だれだ」といって戸を力いっぱい開けた。それで戸によりかかっていた娘は土間へひっくり返ってびんがこわれた。うちであずかっている大事な娘を殺した、と酒屋からいっぱい金をとり、その金で一生楽にくらし、もう盗みはしなかった。