日本昔話資料:稲田浩二コレクション
データ番号 Q05374-A01
題名 俵薬師
題名(ヨミ) タワラヤクシ
時間 18分55秒
話者
収録年月日 1967-03-03
収録地 広島県比婆郡口和町
収録者 稲田浩二
OWC AB44
日本昔話タイプ 【IT438;俵薬師 】
話形分類 TA. 俵薬師;ME. 俵薬師
概要 「昔々ある所に・・・・・昔かっぷり」
昔ある所に大分限者に下男が三人いた。きいち、よりみつ、こん平という名だった。こん平はよく本当らしいうそをつく人だった。旦那が正月前、こん平に隣町で酒を2~3升買いにいくよう、命じた。こん平はびくの中に一升どっくりを3本入れて、雪の中を歩いて買って戻った。こん平は旦那に、峠に大きな腹の牝獅子が寝ていた、と言った。旦那はうそだと思ったが、鉄砲をもってこん平について峠まで行った。しかし何もみえない。雪がふったので足跡がなくなったのだ、とこん平はいった。旦那はおこって、次の日、きいちとよりみつにこん平を俵の中に入れて淵から流してしまえ、と命じた。きいちとよりみつはいわれた通り俵にこん平を入れてぐるぐるまきにして運んだ。こん平は俵の中でしくしく泣きだした。何が悲しい、ときかれると、木小屋の下の瓶の中にためた銭を入れて埋めてある。惜しいことだ、と泣いているのだ、といった。きいちとよりみつはうそだと思いながらも捜しにいったが、なかった。とり残されたこん平は、赤い目をした魚商人が来るのをみて、「いちばた薬師の目の願」といいながら、商人をよびとめた。そして、自分も目が悪かったが、俵に入って目の願をしているのだ、とだまし、入れかわった。こん平は魚をもって逃げ、商人は俵の中で「み(い)ちばた薬師の目の願」ととなえ続けた。そこにきいちとよりみつが帰ってきて、俵を川中になげ込んだ。家に帰って投げこんだ、と報告したが、それから後、こん平が魚商人になって来た。こん平は川になげこまれたあと、竜宮にいった。美しい所で、美しい姫に歓迎され、おいしいものをたべて2~3年すごした。姫が旦那さんもつれてこい、といったので行かれたらどうか、とさそった。旦那はその気になった。こん平は、姫が石臼をもってきてほしいといっていた、とだまし、石臼を旦那にしばりつけ、川につきおとした。旦那は死んでしまった。こん平は奥さんに、旦那さんは今竜宮にいって、あまりいい所なので帰りたくない、家の財産はみなおまえにやる、といわれた、と告げた。ついにうそをつき通してこん平は財産をもらい、大分限者になった。