| データ番号 | Q05357-A05 |
|---|---|
| 題名 | 神のメノコとアイヌメノコの問答 |
| 題名(ヨミ) | カミノメノコトアイヌメノコノモンドウ |
| 時間 | 5分22秒 |
| 話者 | :1902年生 |
| 収録年月日 | 1970-11-25 |
| 収録地 | 北海道白老郡白老町 |
| 収録者 | 稲田浩二 笠井典子 |
| OWC | AB11 |
| 日本昔話タイプ | *アイヌ資料 |
| 話形分類 | |
| 概要 | 毎日ふつうに何ら変りなく暮しておったら、ある日に神様のメノコがこう言った。「お前が本当に物知りであり物覚えがよかったんであったら、この川の昔の名と、それから現代の名を二つともとき明かしなさい」とこう言ったという。そうすると、アイヌのメノコはそんなものぐらいいとやさしいもんだいが誰がそんなもの出来ないものかと。昔は非常に世の中が厳粛であって、あったからこの川を名付けるのに、渦巻き立ち、渦巻流るる川とこう名付けたんだけれども今はだんだん世の中が通俗化したっていうか平凡になったちうか、とにかく世の中が穏やかになったからその、渦巻き立つって言わないで渦巻き流れる川っとただそれだけに言ってるんですよ、って言ったらサルガ(?)神の女がピートントンピートンツーと言って、そうかと、お前がそれ程に物知りであったら、この岬を、この岬は何ていう岬か、これを昔の名と今の名を二つ解き明かしなさいってこういうのね。そうすと、又、アイヌのメノコがフテンナゴウ フテンナ(ノ)を誰がそんな知らないものかと、昔であったらこの岬は昔はその非常に厳粛な時代であるから、この岬は、神様の下がる岬であり、そこに御幣の立てる岬である、と。こう言ったものが、今は非常に世の中が通俗化してしまったから、その神様が下がるっていうその事ははぶいて、ただ単に、御幣の立てる岬だとそう言ってるんですよとそう言った。すると神の女がピートントンピートンお前が本当にそんなに物知りで名高いんだったらお互いの氏素性を解き明かしてみようでないか、こう神の女がそういったら、そんな事なんかいと易しい事だと。昔、国造りの神様が国造りをしておった時に1つ炉縁を作った。炉縁を作った処がケネイヌンベ ハンノキの木なんです。ケネイヌンベってハンノキの炉縁。ハンノキってこうくるう訳。くるう(狂)性質を帯びてんです。そんな炉縁が狂ったら、ごはんでも置けないし、何にも置けないし 炉縁の用を為さないんですよね。本当の事言ったらスーッとこう為ってもの置けるけれどもこれがおかしくこんな風に狂っちまったら物置けない。お碗でも何でもおけんの。それを今度国造りの神さんが怒って自分の造った炉縁を手に持ってずーっと他に投げちまった。ところが非常に高貴な名高い神様の作った炉縁が草と一緒に朽ちたり、そこいらの泥と一緒に朽ちたりするのがもったいないと思って、お前が人間になってこうしておれといるもの誰がそんなもの知らないものかってフテンナオ(が?)そう言ったら、その神の女が何かしらこう顔の色が悪い悪いようにしておったらすっかり姿がこうポッと消えてまったと。そして自分がこう沖のはるか沖の方こう見たら、渚から沖の方に1つの炉縁がズーッとこう流れていった。 |