日本昔話資料:稲田浩二コレクション
データ番号 Q05357-A01
題名 トゥイタッキ - ひとり歩きの仔熊 -
題名(ヨミ) トゥイタッキ - ヒトリアルキノコグマ -
時間 5分28秒
話者 :1898年生
収録年月日 1970-11-25
収録地 北海道芦別市
収録者 稲田浩二
笠井典子
OWC AB11
日本昔話タイプ *アイヌ資料
概要 昔ある時にペナンベとパナンベとその下のパニンベの夫婦仲良く暮してたんですと。ある時に主人が山に行ったらこんなかわいい子熊出してきて、それ今度は預って二人で可愛がって子供もいないもんだから可愛がって可愛がって育てたら、大分大きくなってから、海の方へ向いたらホェーッホェーッ夜でも昼でも泣くんですと。そして山へ向いてもオホェーッ ホェーッてものすごい声でなくもんだから寝る事も、どうする事も出来ないんですて。きっとその神の国へ帰りたいんだろうと思ってね、したら仕方ない祭って熊祭りして送るかって云ったけどどうも変で、出す事も出来ない。恐ろしいから今度「ラウンク」って女の腰に巻くこんなヒモあるんですよ。ラウンクってね。まあ学生の人みんな知ってるけど、ラウンクトゥをほどいて長いんですからね。二間も三間もあるから。ラウンクほどいて熊の牢あるしょう、こんな牢のとこクルクル巻いておいたんですて。巻いておいて寝たら夢みて神様夢みせて「あたしは山の熊の神でね、いたんだけど今あんた達預ってる熊は本当の熊でなく化物でね、本当に鬼みたいな「カミヤシ」ってのアイヌでね。ものすごいカミヤシがあんた達の肉でも食べたい、人間の肉食べたいから何とかしてそれに化けていって、預ってもらったら人間の肉食べて、食べてみたいと思って化けて、小っちゃいかわいい熊になって山歩いてたんだって。そしたら、あんたの主人が持ってきて、育てたけど出したら人間を殺して食ってしまうんだから、あんた達いい按ばいにそのラウンクってものは女の守り神でそれで縛られたものだからそれで神様から縛られて、殺したから」って夢み朝に見たら死んでたってね。すっかりそのヒモで首も巻かせて死んでたって。それで、熊、コヘイもやらないでその化けもんだからコヘイもやらないで、もう地獄の方へ送るようにしてしなさいって、そして朝起きたら死んでたから。それにしてそれからというもの山へ行ってもね、こんな小ちゃい熊の子1人で歩いているものはつかまえるもんでないからね。絶対預らないって。そういう風にいわれて、それからその人達は1人で歩いてる子熊は捕え、今からの人は絶対捕むなっていうお話、なんです。