日本昔話資料:稲田浩二コレクション
データ番号 Q05355-A01
題名 トゥイタッキ - 人殺し大熊 -
題名(ヨミ) トゥイタッキ - ヒトゴロシオオクマ -
時間 11分4秒
話者 :1898年生
収録地 北海道芦別市
収録者 稲田浩二
笠井典子
OWC AB11
日本昔話タイプ *アイヌ資料
概要 オタスッの人でいたんですて。ある時きいたら、自分の村の上の村に、一晩に一人ずついなくなるんですて。そういうことをきいていたのに、だまって・・・、村のまん中まで人いなくなったんです、てきいたからそして行って、歩いて行って行って行っているうちに、トウロウの木あるでしょ、カンピワラと、カンピの木のワラとトウロウばっかり、もう何町ほど、トウロウの木ばっかりはえてるとこあるんですてね。だからその中からね、一番のびのいいようなのをきって、これくらい一ころしょっていったんですて。そして行ってもう行ったら、大きな村あって、その村のまん中まで煙ないんですて。その村のまん中からむこうはやっぱりさーっと煙でててね。だからその村のまん中のうちへいって外にトウロウの木のトンゴロおいてさ、そしたら、ノックっていうんだか、シフンノヤラっていうの、昔は人来たよって知らせるシフンノヤってね、ノックみたいなのですね。そしたらうちから娘一人出てきてね。さっきはおばあさんつうたけど、むすめだったの。三人いたわけさ。それで娘出てきて、入って、神のような立派な人きてるって、小さい声でいうけども、ちゃんときこえたんですて。そしたら入りたくてきたんなら、おそうじして入れなさいって、すぐにそうじしているらしくて、でてきてうやうやしくどうぞお入りなさいってから入ったら、年よりのおじいさんとおばあさんいて、それもそこにいる娘らしい。そしてちょっと上座いってすわったら、喜んでいろいろなお話していうるちにまた夕方になったらね、そのおじいさん、人のいってることばの「イタウトゥル」ってのは、ものいってる途中からそのことばを切ってね、いうのに「神の人よ、私のいうことよくきいて下さい。今までは何にもかわりなくきた村がある時から運が悪く、一晩に一人ずついなくなって、今晩、娘がいなくなるか、私いなくなるか、おばあちゃんいなくなるかわからない、だから、これからこの上の方の村の家に行って泊まってください」っていったんですて。「いや、あのそんなことしなくても、わし、それでわざわざこの遠いとこまできたんだから、絶対私、ねないで番してやるから休みなさい」っていったら、そのおばあさんもおじいさんも皆三人ともねて。ねたからこんどはその木の、あれを持って入ってね。それでそこをこんどはユーカリのぼっこでたたいてたたいて、たたいてもう、夜どおしユーカリしてたたくでしょ。そしたらすっかり皮むけてしまったの。そのトンゴロね。はいで、もうみたり、全部皮むけるまでユーカリしてたたいてたたいて、もう夜あけ近くなってからねたら、まくらもとにある一人の男の人すわってね。「私はトウロウの木のトウの親方って、トウロウの木の神さま・・・」