| データ番号 | Q05354-A02 |
|---|---|
| 題名 | ユーカラ - 戦の話一節 - |
| 題名(ヨミ) | ユーカラ - イクサノハナシイッセツ - |
| 時間 | 16分29秒 |
| 話者 | :1898年生 |
| 収録地 | 北海道芦別市 |
| 収録者 | 稲田浩二 笠井典子 |
| OWC | AB11 |
| 日本昔話タイプ | *アイヌ資料 |
| 概要 | トミサンべツ(Tomi san pet)て、やっぱり日本だね。トミサンべツって、北海道の浜益にあるけど、あれっていう名前は、トミサンべツ シヌタッカタって、トミサンべツの城だね、そこに一人で暮らしていたら、ある時、きいたらアッツイアコタン(Atui ja kotan)て、シナの国に、八ヵ国の各国の人集まって、日本をせめるっていう話あるんですて。そしたから、今度ホマラカムイワル、ていうのは飛行機だね、かぜみたいなん乗って、そしてそのアッツイアコタンにとんでいったんですて。そしたら大きな町だか部落だかあって、その真中にものすごい城建ってるんですと。城の中へ入って、城だかチャーシーていうんだか、垣してある様になってんだね。チャーシー、その中に大きなお城みたいんで、その窓からみたら、今のあの、鉄の棒で、こういう風にあるんでないかな、プィアロラッティっていうんだけど、その間がこうしてなってんだって。入れないから、鉄なんですよね、プィアロラッティっていうんだから、こうして間からこうしてみたら、八ヵ国の人、ウタベラレタラ、肩並べてずっと並んで座っててね。「あしたはポイヤンベ(Poj jaunpe)こうやって斬る」っていって手のばしたり、そうしてひっこめたり、こうやって斬るんだって、みんなでお酒のんだりしてよっぱらって。だから窓の格子の間から風になって入ってモセム(玄関)の入り口の隅の方にかくれていたんですと。そしたらチュプカウンマッ(Cup ka un mat(月の女))ていう、何か易者みたいな女なんだね、その人、立派な衣裳きて、カネクンダリ(kane kuntari(酒つぎ))、したらこれくらいのとこれくらいのくちついた何か、クンダリっていうんだ、それをこうやって、かかえて入ってきたんですて。そしてから、のどをつめできって殺して、アメトゥィヤトゥ、どんなつめもっとるんだかしらんけど、のどんとこ、人知らないようにのどのところに、アメトゥエして、のどをつめできって殺して、そいでその衣裳を自分で着てね、その女の衣裳着て、カネパィカサってあみがさみたいな、昔の堅い笠でこうなってんだ、それと刀を腹んとこにこうして入れて、今度はあの帯しめて、ちゃんと女みたいになって、そのクンダリのかげに顔かくして入ったんですて。そしたら、その勇士方、「チュプカウンマッ、こうやって快く助けにきた」ってよろこんでね、そんなんだら「あしたはポイヤンベ殺せる」ってよろこんで、さあ私のタケスエ、ってのは「飲みのこり」ってんでね、のんでくれって大きな「トゥキ」ってあるでしょ、酒入れるやつ、それをくれるんですと。だからそれのんだら、ものすごいおいしいんだってね。だからみんな八ヵ国だかの人のみんなくらう、わしのものんでくれのんでくれって、みんなこうやってのんでから、こんなお碗なもんだから、かげにこうやって、顔かくしてもどすんです。そしたらよろこんで、そしたらよっぱらってね、ああ、もうだんだんに酒によったなと思ったら、みんな踊るもんだから、ウポポっていうんです。リムセともいうし、その、リムセ アンユフケクス、こんど自分もよろこんでよっぱらったもんだからいっしょになって踊ったんですと。これからそこにアットゥイヤウンマァ(Atuj ja un mat)ていうシナの女ね、昔はなんでもトゥスっていうのあるの。そうすると、今からのこと全部わかる易者みたいなの。アッツィヤンマッてのは昔からそんなの。そのアットゥイヤンマットゥスゥしたらね、「この酒もりの中ごろになったら、ここのうちの中の人一人も残らないでみんな殺されるようだ」っていったんですて。そしたら、「なあに、そんなポイヤンベみたいなアイヌ一人が斬れないことあるか」って、アイヌってのは日本人のこというんだよね。そんなアイヌ一人が殺せないわけないわ、殺せる、ああ、あははと笑うんだってさ、そういうところのうちに一生けんめいになって知らん顔しておどっていたら、「そんなアイヌなんか、きれないことあるか、こんだけの大勢の勇士あつまってるのに、そったらものの一人位殺せないことない」って笑ってそして酒のんでいたら、今度はフッとしずかになって、びっくりしてみたら、みんなこうやって胸をつけて、こうやってひじでこういう風にして、そして自分の顔をまともにみないで、みんなこうして目そらすんですって。そしてみたら、あんまりよっぱらって踊ったもんだから、ここから刀のさやが光って見えるの。ピカピカ光るし、ここからはねてはねて、そこからカネパイカサの金だか何かつくってんだかしらないけど、ピカピカ光るもんだから、みんなふしぎで、見て、肩ひじでつきあいしてみたけども、誰ももの言わんで、恐ろしいでしょ。これはふしぎなものだ、何だろうと思っているらしいから、その衣裳をこうやってアメマカライ、ぬぎすてて、その刀をこういう風に腰にさして、カネパイカサ、その、かぶり方をかぶったと言わんと、アイヌは「カネパイカサ ランベツィ アゴククル」ていうのは、そのカネパイカサのひもをあごにしばりつけてするのを、アイヌ語が入ってるから、簡単にいえば笠をかぶったというてね。だけどもそうでなく、アイヌ語は細かくなってるの。それを日本語でかくとその笠をかぶって刀さしたってね、あの、刀をアヌクッポテチウレでしょ、それでカサランベツっていうのは笠のひもをあごにしばりつけたっていう意味が、カサランベツ アゴ クコユルってなる。そしてこんどポンモシリの人ね、ドイツの人、酒サンケくれて、こんな大きな桶みたいなの前にあっていっぱい酒入っていて、酒サンケくれて、オサク、オサクってのは酒の入れる桶だかシントコあるでしょ、四つ足ついたような、あれシントコいう。それいっぱい酒あって、各人の前にあって、そこからくんで、お酌する。そのお酒、シントコに入ってるの、こうしておこして、その大きなのおこしてのんでしまって、そのからを、うちの、そこのアトイヤウンクルって、うちの主人にぶつけて殺してさ、そしたら死んだ魂いく音ものすごいとどろいて行ってきて、それからその八ヵ国の人をきってきってきりまくったら、うちの中にげることもとぶこともできなくて、空窓からとんででようとしているのをみんなきりおろして殺してしまって、そして日本をやっつけるってきたんだから、それみんな殺して、そして殺してしまって、うちにだあれもいなくなって。したらそれからまた風だか飛行機だか乗って、とびいさんで自分の国へ帰って、一人で淋しくらしていたっていうポイヤンベユーカラの一節。 |