| 概要 |
昔ある所に母と息子がいた。母は毎日山で木を切ってくらしていた。大きくなって息子は「自分が働く」といって山で仕事をするようになった。昼飯のにぎりめしを木の枝にぶらさげてしごとしていた。すると、白いひげのおじいさんがきて飯をみな食ってしまった。だまってみていた。次の日も皆たべてしまった。息子がそういうと母は飯を二つ作った。すると二つともたべられた。おじいさんはお礼にいいことを教えた。天竺へいってこい、そして道中に人がたのまれることは三つある。それをよくきくとよいことがある、とのこと。母にきかせると、おにぎり用の米を庄屋にかりてこいという。庄屋に事情をいうと、娘の病気が治るように祈ってくれ、という。そしてにぎりめしをもって旅にでると日がくれ、泊めてもらった家から庭の木蓮の花が咲く様に祈ってくれと頼まれる。もう少しいくと大きな川があり、むこうに人がいるが、橋がない。どうしてわたったかとたずねると、自分は海に千年、川に千年、山に千年いた者だが、天竺に登りたいが登れない。天竺についたら、登らせるようにたのんでくれ、といった。そして息子を向う岸まで渡してくれた。天竺につくと大きな寺があった。寺からおじいさんがでてきて、北の方からきて、一晩かかった事をつげ、三つの願いをたのんだ。すると、答えに、娘の病気は恋わずらいである。男衆を集めて盃をつがせた人を婿にすればよい、といった。木蓮は、木の下にある金瓶をほりだせばよい。そしてみにくい女が天に登りたい、というのは、その女が欲ばって真珠を二つもっているのを一つだれかにやればよい、とこういってきかせた。 |