| 概要 |
昔ある所に大分限者がいた。下男が三人いて、喜一、頼光、こん平という名だった。こん平はうまいうそばかりいう者だった。正月の少し前、主人は酒をかってくる用をいいつけた。こん平は戻ってきたら、峠に大猪がいたという。うそだと思うならいっしょにいこうとこん平は主人をつれて峠までいった。ところが雪がふって跡がわからない。主人はだまされたと怒り、こん平を俵の中につめて川に流して殺せと他の下男にいいつけた。こん平は俵の中でないた。頼光がわけをきくと、木の下にうめた金が残念だと答える。あまりうそでないというものだから、こん平を堂の中に入れて木の下をほりにいった。こん平はお堂の中で赤い目の魚売りをよびとめ、俵の中に入って「みちばたやくし(道端薬師)のめ(目)のがん(願)」というと目の病気がなおる、とだまし、入れかわり、にげた。戻ってきた喜一と頼光は魚売りを川になげこんでしまった。二年ほどたってこん平は主人と出あった。そして、川になげこまれて竜宮に行き、楽しかったと話した。そして乙姫が主人をよんでいるから石臼をみやげに持っていけといった。こん平は臼を主人にくくりつけて川に入れて殺してしまった。そして奥さんに、主人は今竜宮に行き、財産をこん平にやるように言ったとうそをつき、金もちになった。 |