展示情報データベース
ID 1987-01
展示名 イランとトルコの織物
種別 新着資料展示
会期 1987年05月28日~1987年11月23日
概要 染織技術が西アジアにおいて早くから高度の発達を遂げたことは、この地域の古代の遺跡から出土した遺物や粘土版文書に書かれた記述などから明らかである。織物の素材としては羊毛のほかに綿や絹、時にはヤギやラクダの毛が使われることもある。羊の家畜化が世界に先駆けて行われたのは、いわゆる「肥沃な三日月」地帯で、紀元前9000年頃のことであり、これが毛織物の発達を促進することになったのである。西アジアの乾燥した厳しい自然環境にあっては、植物性繊維よりも動物性繊維が衣類、テント、敷物その他の生活用品の素材として買っていることはいうまでもない。なかでも保温、断熱、弾力、吸湿という優れた特性をもつ羊毛を使った織物は遊牧、定住のいずれをとわずこの地域の日常つぇいかつに欠かすことができない。
織物の技法としては綴織、紋織、浮織、パイル織などがある。そのなかでパイル織はペルシャやトルコのじゅうたんの技法としてきわめて重要である。これらの織物には単純素朴なデザインから洗練された複雑なデザインにいたるまで、実に多様な装飾文様が多彩に織り出されている。万華鏡を想わせる各種の文様には数百年、数千年にわたって培われてきた西アジアの人びとのしたたかな感性と美意識やイスラム教に裏打ちされた世界観などが表れている。また、なかには本来の意味がすでに失われている部族の表象や遠い過去の人びとの思いや願いなどがこめられた文様も含まれている。
備考 第17回新着資料展示