展示情報データベース
ID 1984-01
展示名 西アフリカの織物―細幅木綿布
種別 新着資料展示
会期 1984年05月24日~1984年11月01日
概要 西アフリカを旅行していると、木陰やさしかけの下で一心に布を織っている男の職人さんの姿をよくみうける。かれらは、一見簡単すぎるほどの織機をあやつって長い長いたて糸をひっぱって織っている。かれらの手になるこの布は、色彩はもとより文様、布幅が地方によって異なっている。この細い布の幅は、だいたい3㎝~15㎝くらいで、縫いあわせて大きいものにし、一枚布、貫頭衣、スモックなどに加工される。内陸部のサバンナ地帯のように、手つむぎのあい染糸を使って、昔ながらのしっとりとした布を織っているところもあるが、ギニア湾沿岸では、化学染料でそめた工業製糸を使って、たいへん色鮮やかな織物をつくっている。西アフリカでは、内陸部と沿岸部との交易がさかんなので、北部のマリ、ニジェール、オートボルタなどのサバンナ地帯でつくられた布も、はるかはなれたトーゴのロメなどの沿岸部の都市でも手に入れることができる。また、ロメ近郊で織られたいわゆる「ケンテクロス」とよばれるものに代表される布もナイジェリア、カメルーンなどの近隣諸国に輸出されている。ケンテクロスは熟練した職人でさえ1日に1mほどしか織ることができないほど複雑な文様がたくさん入っている。この高価なケンテクロスは、むろん祭りや儀式などのハレの場でしか着用されない。このような布をまとった人々の集まるところには、晴れやかな雰囲気がみちあふれる。今回この新着資料コーナーに展示したものは、1983年にトーゴ共和国の首都ロメ周辺で入手した布や衣服のうちの一部34点である。この展示によって西アフリカの織物の実状の理解の一助になればさいわいである。
備考 第11回新着資料展示